揚げ物における食品中の脂質の変化(第2報) : 揚げ条件の違いが油脂交換量におよぼす影響について
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概要
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肉や魚のように,脂質を含有している食品を揚げた場合に起こる油脂交換現象を明らかにするため脱水,脱脂,吸油の関係を定量的に検討している。今回は牛肉ミンチボールを用いて揚げ温度が速いが,150℃でも揚げ時間を長くすることによって180℃,2.5分の成品とほぼ同じ水分量のものを得ることができた。また,A(生肉脂質含量11.9%),B(14.8%),C(20.0%)肉を揚げた場合,180℃,2.5分と150℃,3.5分の成品間の脂質変化量に有意差はなかったが,D(24.1%)肉では揚げ温度による違いが認められ,150℃の方が脂質の減少量が多かった。2.180℃,2.5分と150℃,3.5分の成品間の脱脂量は,AおよびB肉では有意差がなく,C,D肉では5%および1%の危険率で150℃の方が脱脂が有意に多かった。一方,吸油はA,B,C肉では揚げ温度による有意差は認められなかったが,D肉では150℃の方が有意に吸油が進む傾向にあった。3.A,B肉を用いて官能検査を行った結果,180℃,2.5分揚げた成品の方が150℃,3.5分のものに比べて焦げ色が濃くジューシーであり,総合評価も有意に好まれた。
- 日本調理科学会の論文
- 1991-05-20
著者
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