揚げ物における食品中の脂質の変化(第1報) : 油脂交換量におよぼす材料肉の脂質含量および形状の影響
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概要
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動物性食品など、脂質含有食品を揚げた場合に起こる揚げ油と揚げ種中の脂質との油脂交換現象について、その機構を明らかにするために、脱水、脱脂、吸油の関係を定量的に検討することを試みた。1. 同一揚げ時間(2.5分)における揚げ種からの脱水量は、ミンチのように肉組織を細断均質化したものでは材料肉の水分含量に関係なくほぼ同量であった。一方、角切りの脱水量は筋繊維の収縮のためにミンチよりも多くなり、また少脂肉ほどその傾向が強かった。2. 揚げ肉脂質の変化量は、脱脂量と吸油量の収支によってその増減量が決まり、脱水量との相関はあまり認められなかった。3. 揚げ肉脂質の変化量におよぼす材料肉の脂質含量の影響をみると、少脂肉ほど増加が大きく、多脂肉ではむしろ生肉よりも減少する傾向にあった。これは材料肉の脂質含量が多くなるほど脱脂量が増えることが主な原因であり、吸油量には少脂肉、中脂肉間に有意差はみられなかった。また、脱脂の著しい多脂肉ミンチでは、少、中脂肉ミンチよりも吸油量が多かった。4. 材料内の形状の影響をみると、ミンチの方が角切りよりも揚げ肉脂質の増加が大きくなった。これは吸油量がミンチの方に多いことによるものであり、脱脂量にはミンチ、角切り間に有意差は認められなかった。
- 1987-12-20
著者
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