イネ葯培養における 1 次成苗法について
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概要
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イネの葯培養は, NiizekiとOono(1968)による成功以来, 培地の改良が進み, カルスの形成や植物体の再分化の効率が少しずつ向上している。中華人民共和国(中国)では, 実際のイネの改良に葯培養が広く利用され, 実用品種が数多く育成されている。わが国では, 温室や暖地を使う世代促進集団育種法によって, イネの育種年限を大幅に短縮することに成功してきた。このため, 葯培養による育種年限短縮効果が, イネの育種事業の中で高く評価されない傾向が見られる。さらに, 脱分化培地でカルスを形成させ, 再分化培地にカルスを移植して植物体を再分化させる従来の2段培養法では, 多くの労力を必要とし, 効率がよくない。ここ数年, バイオテクノロジーの流行もあって, 葯培養を本格的にイネの育種事業にとりこもうとする動きが, わが国でも見られるようになった。しかし, 安価な労力の得にくい状況下で, この新しい技術を広く普及させるには, 大幅な省力化が望まれる。この研究では, イネの葯培養の効率向上と省力化を目的として, 中国で開発された1次成苗法(1段培養法)の実験的評価と改良を試みた。なお, この研究は, 上位著者2名が, 農林水産省依頼研究員として, 北陸農業試験場(新潟県上越市)に滞在中に実施した。
- 日本作物学会の論文
- 1985-03-31
著者
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