有機質資材と化学肥料の併用下における畑土壌中の窒素動態の特徴と窒素収支
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概要
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と化学肥料単用区の土壌-作物系の窒素収支および動態を比較した.淡色黒ボク土,灰色低地土,台地黄色土の3種の土壌について,それぞれ(1)化学肥料区,(2)牛糞堆肥区,(3)乾燥豚糞区を設け,化学肥料として施肥した^<15>N標識硫酸アンモニウムの行方から窒素収支を求めた.各試験区の^<15>N標識硫酸アンモニウム施用量に占める作物吸収利用率は30〜40%内外で大きな差がなく,土壌の種類,有機物併用の特段の影響はないと考えられた.また,トウモロコシの収量,窒素吸収量等に関しても,淡色黒ボク土が多少低めであったものの,施肥・有機物処理により大きな差異は認められなかった.土壌有機能窒素への移行割合は乾燥豚糞区が他の試験区よりも約15〜30%高く,土壌別には淡色黒ボク土の値が高いのと合わせ明確な傾向が認められた.乾燥豚糞施用による窒素有機化の促進は土壌インキュベーション実験でも確かめられた.牛糞堆肥区では,一作経過後に未分解のまま土壌中に残存している部分が多いと考えられるのに対し,乾燥豚糞区では施用有機物中の窒素が無機化された後に,多くの部分が土壌微生物に再有機化されていることが推察された.
- 2004-08-05
著者
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西尾 隆
農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター
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西尾 隆
独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構東北農業研究センター
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三浦 憲蔵
独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構中央農業総合研究センター
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三浦 憲蔵
農業技術研究機構 東北農研セ
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