水ストレス下における暖地型飼料作物の根の吸水力と地上部への水移送能力の草種間差異

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水ストレス下における暖地型飼料作物根の水分吸収力と地上部への水移送能の草種間差異とのその支配要因を解析するために、耐旱性の強いローズグラスと弱いハトムギを水ストレス条件下で栽培し、両草種の根圏から地上部へのトリチウム水の移送量、出液量とそれの水ポテンシャル、根の水透過率および根圧を測定し下記の結果を得た。1)根重、根長および根表面積は両草種とも水ストレスにより低下し、その低下はローズグラスで小、ハトムギで大きく、耐旱性の小さい草種で根の発達が水ストレスにより著しく阻害された。2)出液量およびトリチウム水の移送量は両草種とも水ストレスにより低下し、この低下はローズグラスで小さくハトムギで大きかった。また、出液中の^3Hの比放射能は給水区では草種間差はほとんど認められなかったが、水ストレス区では両草種で著しく低下し、その低下程度はハトムギで大であった。3)出液速度は水耕液の水ポテンシャルの低下に伴い両草種ともに低下し、この低下はローズグラスで小さく、ハトムギで大きかった。また、水耕液の水ポテンシャルが、-1.55barの場合、2草種の根の水透過率はローズグラスで431、ハトムギで141mgH_2O/時間/g/barであり、ローズグラスではハトムギに比べ水ストレス下でも高い根の水透過率が認められた。出液が認められなくなる水耕液の水ポテンシャルから推定した両草種の根圧はローズグラスで3.11bar、ハトムギでは2.35barであった。以上の結果より、耐旱性の強い草種では根圧が高く、水の供給が制限される水分欠乏下でも根の生理的活性が高く維持され、根の水透過率が低下しにくい。その結果、根が吸収した水を地上部に効率よく移送し、蒸散によって失った水分を葉に補う能力が高いものと判断された。
1988-04-05

水ストレス下における暖地型飼料作物の根の吸水力と地上部への水移送能力の草種間差異

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