有機質資材の調製・施用方法と畑作物の根群発達および根の糸状菌フロラに及ぼす効果との関係
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概要
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農業の内外でえられる各種の有機質資材とそれらから調製した堆肥化資材の施用が、畑作物の根の糸状菌フロラ、根群発達、生育収量に及ぼす影響を比較検討し、これら有機質排出物の合理的利用に関する基礎的知見をえようとした。そのために、都市下水汚泥(消化汚泥)、肉用牛ふん尿スラリー、およびジャガイモでん粉工場デカンター排液と、それらを堆肥化した資材を供試し、畑作物に対する施用効果を比較検討した。1)消化汚泥と汚泥堆肥のテンサイに対する施用効果を同一の消化汚泥換算量で比較すると、汚泥堆肥は頸葉発達への促進効果は小さいものの菜根肥大や根中糖分率向上の効果が大きく、糖分収量も明らかに増収した。ジャガイモ塊茎収量に対する資材施用効果を窒素施肥量との関連でみると、消化汚泥は多量施用ではそれに応じて窒素施肥量を減らしても収量が維持されたのに対し、汚泥堆肥は標肥水準以下では減収、以上では消化汚泥区、対照区(多肥区)よりも高収となった。そこで両資材施用下で秋播コムギの根群発達を比較した結果、汚泥堆肥は根重、根分枝・伸長、根毛形成などに対する促進効果が明らかに大きく、消化汚泥は多量施用するとむしろ阻害的になった。汚泥堆肥は根の糸状菌フロラを多様化し、フロラが多様なほど根量も多かった。2)テンサイに対するふん尿スラリーとバーク堆肥の施用効果を比較した結果、スラリーは頸葉の繁茂に、バーク堆肥は菜根重、根中糖分率、糖分収量の増大に、より大きな効果が認められた。3)デカンター排液の単用および麦稈との併用の効果を比較すると、両資材の併用は根の糸状菌フロラの多様化を促し、根群発達を促進する効果が大きかった。フロラの多様性指数はおおよそ根重と正相関を示した。増収効果は排液、麦稈の各単用よりも、両資材併用のほうが勝った。4)以上の結果から、液状有機物資材が根の糸状菌フロラを多様化し根群発達を促進する効果は、液状のままよりも作物残査などとともに熟成堆肥化して施用したほうが大きく、また、この効果は化学肥料では増肥によってもほとんどえられないことが判明した。
- 1988-02-05
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