種子根試験法による銅と亜鉛の複合毒性の検定

概要

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土壌の重金属汚染の問題では最もよく現れる銅と亜鉛の二つの重金属について, これらが共存するときの毒性の相互作用を, 水稲種子根の伸長阻害の程度により毒性の強さを表す試験法を用いて検定することを試みた. 方法は, 銅と亜鉛それぞれの単用では対照のおおよそ90〜10%の根長を示す濃度範囲のなかで, 対照区を含めて銅は7水準, 亜鉛は8水準を選び, これらの水準の全組合せ56試験区の値を求めて, 等効果線法により複合毒性の解析を行った. 1) 銅と亜鉛それぞれ単独のときの毒性の強さを, 対照の根長の半分の長さを示す濃度の高低として表すと, 添加濃度に対する根長の応答曲線から, 銅は24.0μM, 亜鉛は1400μMという値が得られ, 銅の毒性は亜鉛よりはるか強いことが示された. 2) 全56試験区の値を, それぞれ銅あるいは亜鉛を基準として表した図から, 銅と亜鉛の毒性の相互作用は, 少なくとも相乗作用ではないことが推察された. また, この56試験区の値を等効果線法によって解析すると, この方法の定義に従えば, きっ抗作用であることが示された.
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1987-02-05