鉄欠乏作物と培地の黄変現象
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概要
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ホウレンソウ, シュンギク, キュウリ, セルリー, ピーマン等を用いて水耕する鉄欠除栽培を実施したところ, 培養液が黄変するという特異な現象を観察した. そこで, これらの鉄欠除培養液の黄変現象について検討した. 結果は次のとおりである. 1) 黄変培養液を電顕観察したところ, バクテリア等微生物が認められたので, 微生物による培養液の黄変化について検討したが, 微生物による黄変化は考えられなかった. 黄変培養液は室内あるいは自然の光条件下にさらすと黄色を失い無色となるが, いずれの場合もUV照射により蛍光を発した.このことを利用して, シュンギクを無菌栽培下で完全および鉄欠除処理の寒天培地で栽培したところ, 完全培地と異なり, 鉄欠除培地はUV照射により蛍光を発した. 2) 黄変培養液の吸光スペクトルはリボフラビンの吸光スペクトルに酷似したため, TLC法, ハイドロサルファイト添加による黄色の消失確認, ルミフラビン法による3方法で黄変培養液中のリボフラビンの検出を試みた. この結果,培養液には多量のリボフラビンが存在することを確認し, 培養液の黄変化はリボフラビンが原因していると推察された. 3) 培養液の黄変化は鉄欠除栽培のみならず, マンガン, 亜鉛の過剰栽培下においても認められ, 鉄欠除による黄変化と同様にその原因はリボフラビンであることが示された. これらの過剰状態は鉄欠乏状態を誘導したものと推察された.
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1987-02-05
著者
-
清水 武
大阪府立農林技術センター
-
中曽根 渡
大阪府環境農林水産総合研究所
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中曽根 渡
大阪府立農林技術センター
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中曽根 渡
大阪農技セ
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清水 武
大阪府農林技術センター
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中曽根 渡
大阪府農林技術センター
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中尾 知二
大阪府農林技術センター
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