ダイズの根粒着生と茎葉部の生育量・栄養状態の関係
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概要
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ダイズ多収を達成するためには,適正な施肥・土壌管理によってダイズの生育相を良好にすると同時に,根粒の健全な着生を図る必要がある.そこで本研究では,ダイズの根粒着生に影響を及ぼす茎葉部の栄養状態を明らかにするために,茎葉部の生育量,窒素,リン栄養状態と根粒着生との関係を,穂場試験の成績をもとに解析した.1)根粒着生に影響する要因の摘出:1981年に東北農業試験場畑圃場(厚層多腐植質黒ボク土)において溶リン・施肥窒素・施肥リン酸を組合せ,ダイズ(品種:ナンブシロメ)を栽培した.開花期と幼莢伸長中期に根粒調査を行い,その結果に対して生育時期別の茎葉部重,窒素,リン含有率を説明変数として重回帰分析を行った.その結果,根粒数は茎葉部重と生育初期の窒素含有率の2変数で,茎を用いた場合には茎葉部重,生育初期の窒素含有率および開花期のリン含有率の3変数で最もよく説明された(第4表).このことは,根粒の着生・肥大には茎葉部の生育量がプラスに,生育初期の窒素含有率がマイナスに影響すること,また,開花期頃のリン含有率は根粒の肥大に関係することを示唆している.2)根粒着生量と茎葉部重の関係:1979〜1982年の各種補場試験における根粒着生量と茎葉部重との関係に検討を加え,生育量と根粒着生量の間に正の相関のあること,また,窒素多量施用区では根粒1個当たりの重量が低い傾向のあることを認めた.1)で得られた重回帰式に重回帰分析で用いた養分含有率の平均値を代入して求めた式は,東北農業試験場畑補場における茎葉部重と根粒着生量との関係を示す基準直線と考えられた.窒素施用量20〜40kg/haの範囲の根粒着生量は,この基準直線でほぼ説明することができた.(第2,3図).また,開花期以降の茎葉部重増加に対する根粒数増加の割合は頭打ち傾向を示すが,茎葉部重増加に対する根粒重増加の割合は開花期以降もほぼ一定であった(第5,6図).
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 1990-08-05
著者
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