水と溶存イオンの移動に対する畑土壌粒団のsource-sink効果 : D_2Oを水のトレーサーとして

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水と溶存イオンの動態におよぼす畑土壌粒団の影響をみるためにカラム実験を行った。水のトレーサーとしてD_2Oを用い、Cl^-,K^+の挙動との比較を行った。供試土壌は、陰イオンを負吸着する生振褐色低地と陰イオン吸着を示す月寒ローム質火山性土である。実験には、両試料の2mm以下に粉砕した細土と5mm程度の現地土壌構造を用いた。以下に得られた結果を要約する。1)両試料ともかん水後のD_2Oの分布は細土区では凸型のピークを示したが、粒団区では最上層の添加層にその多くが残存し、以下漸減する分布を示した。このことは、粒団区では粒団表面のD_2Oが粒団間粗孔隙を通る早い浸透水により洗脱されるが、粒団内部から表面への拡散は粗孔隙浸透に比べて遅いことを示しており、また浸透水により運ばれたD_2Oは以下の層で粒団内に徐々に拡散し、貯留されたことを示している。すなわち、粒団は浸透過程においてsource-sink効果を示す。2)生振細土区ではCl^-はD_2Oに比べて負吸着により分布域を下層に広げ、月寒では吸着効果によりその分布域を縮小していた。しかし、粒団区では生振は月寒より強いみかけの吸着効果を示した。このことは、粒団表面のCl^-濃度が低下することにより、本来負吸着を示す生振も粒団表面の細孔隙中の電気2重層が拡大し、孔隙の閉塞状態が生じCl^-が内部に閉じ込められることによると考えられた。3)両土壌とも粒団区におけるK^+の保持能は低下した。このことは、畑土壌のCECの有効性は土壌粒団に強く支配されていることを示唆している。
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1988-06-05

水と溶存イオンの移動に対する畑土壌粒団のsource-sink効果 : D_2Oを水のトレーサーとして

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