水稲における根長密度と収量との関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
水稲における根系の量および分布と収量との関係について解析を行なった. 実験用コンクリート水田において, 窒素施用量あるいは栽植密度を変えた6条件下で水稲を栽培した. 登熟期にそれぞれの処理区において株下および株条間(相互に隣接する4株の中央部分)から, ブリキ製の円筒を用いて根を採取し, ルートスキャナーで根長を測定し, 根長密度(単位土壌体積当りの根長)を算出した. 根長密度は, 土壌表面から深くなるにつれて, 少なくなっていた. 根長密度を利用して, 単位面積当りの土壌中に存在する総根長を推定したところ, 約1万km/10aのオーダーの値が得られた. この単位面積当りの総根長と推定収量との関係を解析した結果, 収量水準約550kg/10aまでは収量と総根長が対応して増加したが, それ以上の収量水準では総根長は減少していた. 土壌中における根の相対的な分布と収量との関係についてみると, 600kg/10a以上の高い収量では, 根が相対的に下方向に分布していた. 以上の結果から, 600kg/10a以上の高い収量をあげるためには, 単に根量が多いこととは別に, むしろ根が下方向に分布していることが重要であることが推察された.
- 日本作物学会の論文
- 1988-09-05
著者
関連論文
- 傾斜地農業の歴史と展望
- 104 トウモロコシの葉身における長さと幅の相対生長
- 栄養生長期におけるトウモロコシの発育程度の表示法
- 127 トウモロコシ主茎軸上の各器官の大きさの推移について
- 100 土壌水分条件がイネの分枝根の発達に及ぼす影響
- 水稲における根群の形態形成について, とくにその生育段階に着目した場合の一例
- 水稲における2次根始原体の発育経過
- 水稲冠根の伸長に伴う直径の変動と2次根の出現密度との関係
- 水稲における2次根の直径と組織構造との関係
- 水稲冠根の根端近傍における形態形成の様相と分枝根形成との関係
- 水稲の分枝根形成に及ぼす窒素施肥量および茎葉部への遮光・剪葉の影響
- 水稲根における分枝の様相,とくに冠根の直径と分枝との関係について
- 水稲の冠根および分枝根の基本的な組織ならびに分枝の際における導管連絡について
- コムギにおける分げつの生育に関する研究 : 第4報 シュートの高度に着目した有効分げつの形態的特徴に対する解析
- コムギにおける分げつの生育に関する研究 : 第3報 分げつの生育特性とその有効化
- コムギにおける分げつの生育に関する研究 : 第2報 出葉・出根関係に着目した分げつ出現の再検討
- コムギにおける分げつの生育に関する研究 : 第1報 主成分分析による形態的特徴の解析
- 5 水田における水稲根長の土層別分布割合 : 根長密度モデルを利用した解析例
- 大豆品種における気孔密度の変動性に関する研究 : 第1報 葉の表裏および葉位が品種間差異におよぼす影響
- ルートスキャナーを用いて評価した水稲根の形態的諸形質
- 12 水稲栽培における側条・深層施肥が収量および根系の生育に及ぼす影響
- 土壌水分条件がコムギ幼植物の根の生育, とくに種子根の分枝に及ぼす影響
- 幼穂形成期から出穂期にかけての遮光処理が水稲の根系の形成および収量に及ぼす影響 : 第2報 1次根に着目した場合
- 幼穂形成期から出穂期にかけての遮光処理が水稲の根系の形成および収量に及ぼす影響 : 第1報 根長密度に着目した場合
- 22 幼穂形成期から出穂期にかけての遮光処理が水稲の根系の形成および収量に及ぼす影響 : 第2報 1次根に着目した場合
- 21 幼穂形成期から出穂期にかけての遮光処理が水稲の根系の形成および収量に及ぼす影響 : 第1報 根長密度に着目した場合
- 75 半矮性穂重インド型稲の根系形態の特性と出穂期の剪根処理が収量に及ぼす影響
- 大学における作物学教育 : 現状をふまえて将来像を探る
- 根長密度モデルによる根系形態の解析 : 第2報 水稲根系に関する一例
- 根長密度モデルによる根系形態の解析 : 第1報 モデル
- 水稲の生育に伴う根の量的形質の変化および根量と葉の量との生長相関
- 水稲における根長密度と収量との関係
- 96 水稲の出葉転換期前後における葉と根の相対生長の変化 : ポット栽培による一事例
- 24 根長密度モデルによる根系の形態学的解析 : 2. 水稲根系に関する一例
- 23 根長密度モデルによる根系の形態学的解析 : 1. モデルの提案
- 17 水稲1次根均等伸長モデルによる根長密度の試算
- 6 水稲の根長密度と籾数・籾重との関係
- 水稲冠根における根端の組織について
- ノンパラメトリック法による水稲1次根の分布パターンの検定
- 水稲における"うわ根"の形成量と玄米収量との関係
- 水稲茎葉部の生育と1次根の伸長方向との関係
- 水稲1次根の伸長方向と籾重との関係 : 窒素施用量を変えた場合
- イネの根系形態の解析 : 成熟期における品種間比較
- 農家水田に生育した水稲の1次根数と収量構成要素との関係 : 第3報 水田間の差異について
- FISH法を用いた根圏微生物解析 プロトコールの改善と水田・畑の比較
- PCR-DGGE法を用いた根圏微生物の解析 水田および畑地の根圏微生物相の比較
- FISH法を用いた根圏微生物解析(2)
- 水田で栽培した日印交雑稲品種および日本型稲品種の根量および分布
- 圃場で栽培したコムギの種子根および節根の伸長および分枝根形成
- 102 種々の程度の水ストレス後における再灌水がコムギ幼植物の吸水に及ぼす影響
- 101 圃場で栽培したコムギの種子根および節根の生育 : とくに分枝根の形成に着目して
- 126 水条件がコムギ幼植物の根の生育に及ぼす影響
- 118 "葉ざし"法を利用した水稲根の生育に関する研究 : 第3報 異なる要素における1次根の生育, 1次根の生育に及ぼす分げつ芽の影響
- 光条件が水稲1次根の伸長方向に及ぼす影響 : "葉ざし"法を利用した場合
- トウモロコシにおける根の分枝 : 第1報 「分枝指数」および根長測定方法
- 根の分枝程度を定量的に把握する方法
- 124 形態学的視点から見たイネの多様性 第3報 根系の生育の品種間比較
- 82 形態学的視点から見たイネの多様性 : 第2報 要素の形態に着目した品種の位置づけ
- 81 形態学的視点から見たイネの多様性 : 第1報 形態的諸形質の相互関係の解析
- 農家水田に生育した水稲の1次根数と収量構成要素との関係 : 第2報 茎および"要素"に着目した場合
- 農家水田に生育した水稲の1次根数と収量構成要素との関係 : 第1報 株および個体に着目した場合
- 環境条件が水稲における"いじけ"根の形成におよぼす影響について
- 水稲1株の根群を構成する伸長した冠根数と穂数との関係
- 水稲株の直下土壌層における水稲根の生育の様相 : その一事例について
- 水稲冠根の伸長方向角度および屈地性について
- 水稲における根群の形態形成について, とくに湿田・乾田に着目した場合の一例
- 植物徒手切片標本の作製法の改善
- 水稲茎部における上位根・下位根始原体の分布様式について
- 水稲茎部に形成される冠根始原体の数および直径について
- 79 水稲茎部に形成される冠根始原体の数について
- 水稲茎部における冠根始原体の形成について
- 水稲冠根の伸長方向と通導機能との関係
- 水稲冠根の伸長方向と組織構造との関係
- 水稲冠根の伸長方向と直径との関係
- 水稲冠根における導管および篩管の数について
- 水稲冠根における"初生根冠"の離脱過程
- トウモロコシの根系領域の形成と1次根の伸長方向ならびに伸長速度
- トウモロコシにおける1次根の直径と2次根の形成
- トウモロコシ根系を構成する1次根の外部形態およびその伸長方向
- 水稲における根群の形態形成について, とくに土壌環境を考慮した場合の一例 : 山形・秋田・岐阜の各県下において採集した水稲を中心として
- 水稲の茎における伸長と肥大の相対生長
- 水田の最周辺ならびにそれ以外の部分に生育した水稲の茎葉部における後生導管節について : 千葉市大草町において採集した水稲を中心に
- 水稲の葉, 茎および根における木部の構成要素
- 水稲根群における"いじけ"根の形成部分について, とくに現地水田より採集した材料を中心として
- 水稲冠根における"いじけ"根の形態について : 現地の水田において観察された1事例
- 107 形態学的視点から見たイネの多様性 : 第7報 根系形態における品種間差異の形成過程
- 108 形態学的視点から見たイネの多様性. : 第4報 根量およびその分布の解析
- 125 水稲1次根の組織構造に関する形態測定学的解析
- 119 "葉ざし"法を利用した水稲根の生育に関する研究 : 第2報 剪葉処理が1次根・2次根の生育に及ぼす影響
- 118 "葉ざし"法を利用した水稲根の生育に関する研究 : 第1報 光条件の変更が1次根の伸長方向に及ぼす影響
- 123 根長の測定方法の比較
- 96 イネ主茎葉の生長曲線のパターン
- 国際根研究学会シンポジウムに参加して
- 水稲1次根の直径および数と茎の直径との関係, とくに異なる品種についてみた場合
- タイトル無し