根長密度モデルによる根系形態の解析 : 第2報 水稲根系に関する一例
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概要
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著者等が提案した根長密度モデルを用い, 対照区と遮光区(幼穂形成期から出穂期に遮光処理)で生育させた水稲根系を解析し, モデルの有効性を検討した. 根長密度モデルにおける条間距離, 株間距離, "株半径" に, それぞれ対応する実測値を採用し, シミュレーションを行なった. その際, 根長密度の実測値とモデル値とが最もよく一致するように, "根長密度定数"・"根域半径" を選定した. その結果, "根長密度定数"・"根域半径" の値は, いずれも対照区に比較して遮光区で小さかった. また, 上記の "根長密度定数"・"根域半径" と, 条間距離, 株間距離, 株の半径, 1株当りの伸長1次根数の実測値から, 根系形態に係わる種々の指標を算出した. 算出した, "モデル1次根長", "分枝係数", "株1次根長", "株全根長", "面積1次根長", "面積全根長" のいずれの値も, 対照区に比較して遮光区で小さかった. 以上の結果は, 対照区に比較して遮光区で根系の発達が不良であることを示すものと考えられる. また, 対照区および遮光区のいずれの場合も, 根長密度の実測値とモデル値との適合度は悪くはなかった. ここで両者の値に「ズレ」が認められたのは, 現実の根系を3つの単純な仮定([1次根均等伸長], [分枝均一], [半球状根域])によって近似しているためである. しかし, モデルを利用して選定したパラメーターや種々の根系形態の指標について対照区と遮光区の間に認められた差は, 従来の推察を裏づけるものであった. これらのことはモデルの有効性を示すものと考えられる.
- 日本作物学会の論文
- 1988-12-05
著者
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