バイオリン奏者にみられる顎の変形について(第486回 大阪歯科学会例会 抄録)
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概要
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バイオリンは顎に荷重を加えて使用するため,顎変形や顎関節症状との関連性が指摘されており,演者も演奏時間・時期と顎変形の関係について以前報告を行った.今回は正面頭部X線規格写真を用いて,バイオリン奏者と顎変形症患者の顎骨形態の特徴について比較検討を行う.方法:被験者は19歳から29歳までのバイオリン奏者10名と,本学附属病院に来院した18歳から35歳までの下顎側偏位を伴った顎変形症患者15名である.これら被験者の正面頭部X線規格写真を撮影し,Z(前頭頬骨縫合内側点)-lineを基準平面として次の項目を計測した.(1)Zyg(頬骨弓最上縁)line(2)Ms(乳様突起最下点)line(3)Cd(下顎頭最上点)line(4)UM(上顎第一大臼歯)line(5)AG(下顎角前切痕)line(6)Ans(前鼻棘)-Me(メントン)lineこれらの相関関係について,被験者群ごとにそれぞれ求めた.結果:バイオリン奏者群においては,AG lineとZyg lineとの間に1%の危険率で相関が認められ,AG lineとAns-Me line,AG lineとCd lineの間にそれぞれ5%の危険率で相関が認められた.顎変形症患者群において,AG line とAns-Me line,Cd lineとZyg lineの間にそれぞれ1%の危険率で相関が認められ,AG lineとUM line,Cd lineとMs line, Zyg lineとMs line の間にそれぞれ5%の危検案で相関が認められた.またバイオリン奏者のAG line はすべての被験者において反時計方向に回転しており,Ans-Me lineは時計方向に回転していた.結論と考察:バイオリン奏者において,AG lineとAns-Meを反対方向に回転させる変形が生じていることがわかった.これは一般の顎変形症患者にはみられないことから,楽器の荷重がもたらす変形であることが考えられた.またAG line とCd line, Ag line とZyg line それぞれの間に相関が認められることから,頬骨および側頭骨に変形が生じていることが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 2003-03-25
著者
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