オトガイ部振動刺激が咬筋運動誘発電位に及ぼす影響
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概要
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近年新しい測定装置の開発に伴い脳機能の研究が盛んに行われている.当講座においても経頭蓋磁気刺激装置を用いて咀嚼筋の疲労やバイトプレート装着による中枢への影響を測定してきた.今回われわれは末梢性感覚入力の変化が中枢に与える研究の一環として緊張性振動反射(TVR)の残留効果を検討した.すなわち, 振動刺激後に経頭蓋磁気刺激により導出される咬筋運動誘発波(MEPs)を測定することによって筋紡錘からの感覚入力の増加が中枢に与える影響を分析した.正常有歯顎男子5名を被験者とした.実験開始前に50%MVCの強さでかみしめを行わせ, 右側頭皮上より磁気刺激を行い両側咬筋よりMEPsを導出した.これを3回繰り返しその平均値をコントロール値とした.その後, 振動刺激装置を用いてオトガイ部より120Hzにて20秒間振動刺激を行い, 両側咬筋にTVRを発現させた.振動刺激終了直後より2分間15秒おきにコントロールと同様にかみしめを行わせ磁気刺激を行った.計測パラメータは刺激側咬筋の短い潜時の末梢性MEPs(R-MEPs)と対側咬筋の長い潜時の中枢性MEPs(C-MEPs)の潜時および振幅を用いた.統計解析は分散分析法にて行った.振動刺激後2分間においてはR-MEPsとも潜時に変化はみられなかった.振幅では振動刺激後はR-MEPsはコントロールに比べて低下し, C-MEPsは逆に増加して両者間に有意な差がみられた.この傾向は振動刺激終了後1分間においてより顕著に現われた.以上の結果から, オトガイ部振動刺激により咬筋筋紡錘からの感覚入力が増加し, 振動刺激終了後も中枢での興奮性が増加することが明らかとなった.
- 2005-06-25
著者
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井上 宏
大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座
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井上 宏
大阪歯大・欠損補綴
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川野 晃
大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座
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森田 真功
大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座
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井上 宏
大阪歯科大学
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川野 晃
大阪歯大・欠損補綴
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