Dynamic MRIを応用した開閉口時の下顎頭と関節円板の矢状面運動計測
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概要
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MRI (Magnetic resonance imaging)を用いた顎関節部, とくに下顎頭と関節円板の形態学的特徴については, 過去に多くの報告があり, 明らかにされている.しかしながら, 顎関節部の動的状態についての報告はきわめて少ない.近年, MRI撮像の高速化に伴い, 1画像が約1秒で撮像できるシーケンスが開発されている.そこで, この高速シーケンスを利用したDynamic MRIを利用して, 下顎頭と関節円板の矢状面運動の同時計測法を確立し, 顎関節部に雑音を自覚する者(TMD群)と顎関節部に異常を認めない者(Normal群)において, 開閉口時の下顎頭と関節円板の動態および移動距離を計測し, 両群の特徴を明らかにすることを目的とした.被験者はTMD群6名(男性4名, 女性2名, 平均年齢26.3±4.46歳), Normal群7名(男性5名, 女性2名, 平均年齢26.6±1.72歳)とし, MRI装置はSigna Horizon LX[○!R](1.5T, GE, USA)を用い, Fast SPGRでTR/TE=7.7/1.4msにて, Thickness=8mmのSagittal Sliceを40秒間撮像した.被験者にはこの40秒間で最大開閉口を1回行うように指示した.得られた画像から分析ソフトにて下顎頭の内接円の中心点と関節円板の中心点を座標として求め, 中心咬合位における下顎頭と関節円板の相対的位置関係を計測した.また, 最大開閉口運動時の下顎頭と関節円板の運動速度と移動距離を計測し, 両群について比較, 検討した.以上のことから関節円板の運動について, 円板外形の中心点を基準点とし, 矢状面運動の描記法を確立した.また, クリッキングを有する患者について関節円板の前方転位の程度を数値化することが可能となった.クリッキングを有する患者の開閉口運動について関節円板の運動速度が正常者と比較し, 有意に大きな分散値を示した.以上の結果から, Dynamic MRIは関節円板の動態の観察, 計測に有効であり, クリッキングを有する患者では正常者に比べ関節円板の運動速度の変動は有意に大きいことが示された.
- 大阪歯科学会の論文
- 2005-12-25
著者
-
井上 宏
大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座
-
井上 宏
大阪歯大・欠損補綴
-
内田 愼爾
大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座
-
田村 佳則
大阪歯大・大学院・欠損補綴
-
田村 佳則
大阪歯科大学大学院歯学研究科欠損歯列補綴咬合学専攻
-
内田 愼爾
大阪歯科大学歯科補綴学第3講座
-
内田 愼爾
大阪歯科大学大学院歯学研究科歯科補綴学
-
井上 宏
大阪歯科大学
-
田村 佳則
大阪歯科大学
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