培養ヒト歯根膜細胞の増殖特性について

概要

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歯根膜骨側, 中央部, セメント質側の細胞増殖特性を比較するため本実験を行った. 実験材料にはヒト歯根膜の骨側, 中央部, セメント質側組織から貼り付け法により分離培養した細胞を用いた. なお, 実験には継代5代と15代の細胞を供した. 実験方法としては, 各部から分離培養した細胞を24ウェルプレートに播種, 培地の血清濃度は 5, 10, 20% の各濃度とし, 培養5, 10日目に各濃度での細胞数を計測した. その結果, 各部位由来のどの細胞も血清濃度が高いほど増殖能は大きく, 20%で最も良く増殖した. 最大に増殖した血清濃度20%での各部細胞の増殖能を比較すると, 最大は骨側由来細胞で, 以下, 中央部, セメント質側由来細胞の順であった. 血清要求量については各細胞それぞれ特徴的で, 骨側由来細胞においては血清要求量がさはど高くなく, 培養5日間では血清濃度10%でも十分に増殖した. 一方, 中央部とセメント質側由来細胞で良好な細胞増殖を得るには, 培養10日間を通じ血清濃度20%が要求され, 骨側由来細胞に比較して血清要求量が高かった. 以上のことから, 同じ歯根膜内でも部位により細胞の増殖特性が異なることが示唆された.
大阪歯科学会の論文
1994-12-25