2壁性骨欠損部への脱灰骨移植が新付着形成に及ぼす影響について

概要

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本研究は,2壁性骨欠損部に凍結粉砕脱灰骨を移植した際にも,3壁性骨欠損部でみられたと同様,移植部対応根面にセメント質形成がみられるかどうかを検索する目的で行った。実験には,ニホンザル4頭を用いた。実験方法は,骨移植部を確保するため,まず上顎左右側切歯を抜去した。抜歯窩の治療後,犬歯の頬側粘膜骨膜弁を剥離,犬歯近心隣接部に,近心側と口蓋側骨壁をもった深さ3mmの2壁性骨欠損を作製した。次いで,骨欠損部対応歯根面のルートプレーニングを行い,欠損部にサル凍結粉砕脱灰他家骨を移植した。一方,移植材を填入しないものを対照群とした。各サルの左右犬歯2ヵ所の骨欠損部には同様の処置を施した。術後4,8週に,実験部位を含む歯および骨を一塊として切り出し,光顕,電顕的に観察した。その結果,脱灰骨移植部では移植材の吸収と活発な骨新生が認められた。それに伴って,新生骨に対応する根面上には多量の新生セメント質の形成がみられた。以上のことから,本実験結果は,新生セメント質形成を伴った新結合組織付着が,2壁性骨欠損部への凍結粉砕脱灰骨移植においても,より歯冠側で獲得できることを示した。
1991-09-28