老化促進モデルマウス頭蓋骨コラーゲンの加齢変化
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概要
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老化病態の早期自然発症を特徴とするマウス系 (SAMP8) と正常に老化するマウス系 (SAMR1) を用いて, 頭蓋骨コラーゲンの加齢変化を知る一つの試みとして, 生化学的検索を行った. 頭蓋骨可溶性コラーゲンの中性塩溶媒による抽出率は, 両系統とも加齢に伴って低下し, とくに SAMP8 の37週齢での低下は顕著であった. また, 酸溶媒による抽出率は両系統ともほぼ一定値で推移した. 頭蓋骨不溶性コラーゲン中のヒドロキシプロリン量は, 両系統とも加齢に伴って減少傾向を示した. プロリン水酸化率は, 両系統とも加齢変化をほとんど示さなかったが, リジン水酸化率は加齢に伴って SAMR1 ではゆるやかな低下, SAMP8 では17週齢で急激な低下を示し, 37週齢で両系統の値は同程度となった. ピリジノリン量は, 両系統マウスとも加齢に伴って増加したが, SAMP8 は同週齢の SAMR1 に比べ同程度か, つねに多かった. 以上の結果から, SAMP8 に認められた加齢に伴う中性塩溶媒による可溶性コラーゲンの抽出率の低下, リジン水酸化率の低下およびピリジノリン量の増加傾向は, 正常な熟成あるいは加齢段階を早める方向へ進んでいることを示唆している.
- 大阪歯科学会の論文
- 1994-02-25
著者
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藤田 厚
大阪歯科大学生化学講座
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井田 勝康
大阪歯科大学生化学講座
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八竹 利明
大阪歯科大学生化学講座
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菅波 秀穂
大阪歯科大学生化学講座
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尾上 雄平
大阪歯科大学生化学講座
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諸頭 智彦
大阪歯科大学生化学講座
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