汽水産および海産の動物プランクトンにおけるフェニトロチオンの代謝

概要

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汽水域および海域における, 有機リン殺虫剤フェニトロチオンの環境水中運命に及ぼす動物プランクトンの影響を明らかにすることを目的に, ^<14>Cで標識したフェニトロチオンを用いて汽水産および海産の動物プランクトンに起因するフェニトロチオン代謝生産物の同定およびそれらの動物プランクトンに対する毒性について検討した.汽水湖である宍道湖および中海の優占種それぞれSinocalanus tenellusおよびOithona davisae, 海産動物プランクトンBrachionus plicatilisおよびArtemia salinaのフェニトロチオン代謝生産物として, 3-methyl-4-nitrophenol, fenitrooxonおよびdesmethylfenitrooxonを動物プランクトン体内または飼育溶液中から検出・同定した.供試動物プランクトンに対するdesmethylfenitrooxonのLC_<50>値はいずれも>40 ppmであり, ほとんど毒性を示さなかった.一方, 3-methyl-4-nitrophenolのS. tenellusに対するLC_<50>値は0.94 ppm, fenitrooxonのS. tenellusおよびO. davisaeに対するLC_<50>値はそれぞれ0.12 ppmおよび0.26 ppmであり, フェニトロチオンのそれ(それぞれ2.8 ppmおよび1.6 ppm)より高い毒性を示した.
日本農薬学会の論文
1998-08-20