汽水産動物プランクトン Sinocalanus tenellus および Oithona davisae のマラチオン耐性と分解能
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概要
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淡水産動物プランクトンの薬物耐性・消失能は化合物の安全性評価試験の結果から一般に低いと考えられるが, 汽水・海産の動物プラクトンについては明確ではない.本研究では, 汽水湖である宍道湖および中海から優占種としてそれぞれ分離したカイアシ類Sinocalanus tenellusおよびOithona davisaeの, 有機リン系殺虫剤マラチオン耐性・消失能を検討した.耐性能として薬物の半数致死濃度(LC_<50>値)を求める一方, 消失能として動物プランクトンに起因するマラチオン消失速度定数(k_z)を他の要因(光および湖水自身)に起因するそれ(k_0)と区別して動力学的に算出するとともに, 動物プランクトンのマラチオン生物濃縮係数(BCF)を測定した.得られたLC_<50>値はS.tenellusおよびO.davisaeに対してそれぞれ1.95および>4.91ppmであり, すでに知られている淡水産枝角類Moina macrocopa(0.065ppm)よりいずれも高い耐性能を示した.これら動物プランクトン存在下のマラチオンの消失は速やかでS.tenellusおよびO.davisaeに起因するk_zはそれぞれ8.5×10^<-2>および3.7×10^<-2>(individual/ml)^<-1>day^<-1>と評価された.またBCFはそれぞれ4530および3900であり, 動物プランクトンの体内蓄積マラチオン量はマラチオン全消失量のそれぞれ0.5%および0.2%であり, 全消失量のそれぞれ81.3%および70.5%が代謝・分解により消失していると考えられた.この結果は, 環境水中に流入した微量の農薬に対しては動物プランクトンが分解・消失要因として寄与していることを示唆するものと考えられた.
- 日本農薬学会の論文
- 1995-05-20
著者
-
尾添 嘉久
島根大・生資科
-
持田 和男
Department Of Life Science And Biotechnology Faculty Of Life And Environmental Science Shimane Unive
-
柏田 祥策
Department Of Life Science And Biotechnology Faculty Of Life And Environmental Science Shimane Unive
-
尾添 嘉久
Department of Life Science and Biotechnology, Faculty of Life and Environmental Science, Shimane Uni
-
中村 利家
Department of Bioresource Science, Faculty of Agriculture, Shimane University
-
尾添 嘉久
Department Of Life Science And Biotechnology Faculty Of Life And Environmental Science Shimane Unive
-
中村 利家
Department Of Life Science And Biotechnology Faculty Of Life And Environmental Science Shimane Unive
-
柏田 祥策
環境研
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