「教養」の観点から見た高専教育制度の見直し私案
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概要
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これまで高専教育は,技術教育の観点から論じられるケースが一般的であった.しかも,大学教育との相違点を強調することによって,高専教育のアイデンティティを確立しようと努めてきた.しかし,大学と異なる教育機関を主張しながら,他方では大学と同程度という言葉が平然と使われ,専攻科の開設によってこの矛盾が一層鮮明になってきた.このような矛盾の裏返しとして,高専は教養教育に重きを置かないことに独自性を見出そうとしてきた感がある.このことを喝破した久松俊一は,しかしなお現実問題として,現行制度の枠組みの中でカリキュラム改革等の創意工夫をすることによって,一般教育の再構築がどこまで可能かを問いかけている.これに対して,筆者はいささか悲観的にならざるを得ない.なぜならば,久松も指摘しているように,高専教育制度そのものが一般教育の軽視の上に成り立っているからである.そこで小論は,主として「教養」の観点から高専教育制度を見直し,「大学審答申」に対応できるような制度改革案を素描することによって,この種の論議の深まりを期したいと思う.
- 日本高専学会の論文
- 1999-04-20
著者
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