大藪川源流域の地形解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大藪川流域において,水系網,流域面積,流域勾配に関する地形的特徴を明らかにした.地形解析の対象は,大藪川源流に位置する3流域,シキノタニ,ボウズダニ,コウチノタニである.水系網の解析は,Horton-Strahler方式による流路次数に基づいて,Hortonの第一法則(分岐比)と第二法則(流長比)とを用いておこなった.流域面積と流域勾配とは,3流域それぞれの主流路に流入する支流路ごとに計測し,主流路に沿うこれらの位置的変化について解析をおこなった.その結束,分岐比はR_b=4.0~6.0で,一般にとりうる値より大きく,流量比R_1=1.7~2.0で,一般にとりうる値より小さいことが分かった.また,大薮川では東から西に向かってR_bが増加し,北から南に向かってR_1が増加することも分かった.流域面積と流域勾配については,3流域ともそれぞれの中流部から上流部の間で流域面積の大きな支流路が流入し,1kmあたり3~5本の割合で土石流発生限界勾配(tanα=0.25)より急な支流絡が流入する事が分かった.このことから,洪水時の流量は合流点で著しく増加し,同時に支流絡から主流絡への土砂生産がきわめて発生しやすいものと推測された.Geomorphological characteristics of drainage network, drainage area and channel gradient of river basin were analyzed at the Oyabu river located Kyushu mountain range. Geomorphology of three river basins, Shikino-tani, Bouzu-dani and Kouchino-tani, included in the Oyabu river basin were investigated. Analysis of the drainage network, based on the Horton-Strahler method, employed bifurcation ratio and length ratio confirmed by the Horton's law. Drainage area and channel gradient of the river basin, measured about each branch stream along the main flume, were analyzed. Results were as follows. Average bifurcation ratio showed larger values (R_b=4,0-6.0) than the general measuring values. Average length ratio showed smaller values (R_1=1.7-2.0) than the general measuring values. Over the whole the Oyabu river basin, the bifurcation ratio increased from east to west, and the length ratio increased from nouth to south. In each of three river basins, drainage areas of branch flumes showed large values from middle to upper reach of main flumes and steep branch flumes formed junctions with main flumes at intervals of 3-5/km. These results lead that the value of flood discharge increase at the junctions.
- 九州大学の論文
著者
関連論文
- 2007年3月18日にルアペフ火山(ニュージーランド)の火口湖決壊によって発生した泥流の土砂水理特性変化
- 土地利用変化が山地流域の土砂生産・輸送プロセスに与えた影響 : ニュージーランド, ウェラマイア川流域
- オーストラリア東海岸におけるガリーの発達(2003年度春季研究発表会)
- 山地源流域での細粒土砂生産に対する降雨の影響 : 沈殿方式による簡易サンプリングを用いた検討
- 1.森林生物部門(A.概要,I.研究教育動向)
- Sediment pulse 発生後における土砂の波状移動と分級現象
- ニュージーランド北島ルアペフ火山の火口湖決壊によって発生したラハール
- Sediment pulse に起因する山地流域非平衡土砂流出の実態
- 山地流域における浮遊砂と掃流砂の流出量変化
- 樹木年代学的手法による山地流域のニホンジカ生息密度・分布域の時間的変化の再現
- ゲンジボタルの生活環に影響する河川空間の動態に関する研究
- ヤマメの生息におけるプール内の河床礫の影響
- 12.流域スケールにおける河床粒径研究への取り組み : その位置的変化と支配要因(一般研究発表)(口頭発表)(2004年度春季研究発表会)
- 水系を通じた土砂流出速度の推定--ニュージーランドワイパオア川における事例
- 砂防学における渓流地形研究の意義と役割
- 山地河川における階段状河床地形とヤマメ(Oncorhynchus masou masou)産卵床の形成位置に関する研究
- ニュージーランド・ワイアプ川支流における礫の粒度組成と堆積土砂のMobilityについて(2003年度春季研究発表会)
- 崩壊地を含む小面積流域における流出土砂量
- 山地源流域における合流点での土砂の滞留現象
- 市房山崩壊地群
- 土砂滞留に伴う流木群強度の位置的変化
- 大藪川源流域の地形解析
- 山地河川における流木群による土砂の滞留機構
- 9.北海道演習林における林道法面の侵食試験(I.研究動向)
- 6.火山灰地の林道における侵食試験(I.研究動向)
- P4. 流域面積の異なる山地流域における浮遊砂流出特性(2002年度春季研究発表会)
- 山地河床における岩盤形状と巨礫の土砂流出に及ぼす影響
- 12. 急勾配河川における土砂滞留の規模, 再帰時間, 緩和時間 : 九州一ツ瀬川源流における12年間の河床変動観測(2005年度春季研究発表会)
- P13. ニュージーランドワイアプ流域源流部におけるガリーシステムの発達(2005年度春季研究発表会)
- 環太平洋地域における土砂流出研究
- GISによる再配列した数値標高データを用いた河道次数解析に関する検討
- 衛星データとGISを用いた崩壊地の判別に関する研究-市房山崩壊地群を例として-
- 一ツ瀬川源流大藪川における1997年洪水直後の堆積砂礫径の特徴
- 斜面後退プロセスにおける崖錐堆積物の発達と植生の作用
- 7.林地の水文環境保全機能に関する研究(I.研究動向)
- 複数の支川土砂流出により発生したSediment pulseの波形形成とその流下距離
- 環境情報としての樹木年輪の定量解析(II)
- 森林地帯における溶存物質濃度と流域面積との関係
- 火山山麓における谷地形の発達と火砕物の影響
- 流域レベルでの林学研究 : マクロスケールの林学研究をめざして
- メラピ火山におけるガリー侵食の発達プロセス
- 8.地形変化と土石移動現象に関する研究(I.研究動向)
- 5.地形変化と土石移動現象に関する研究(I.研究動向)
- 7.地形変形と土石移動現象に関する研究(I.研究動向)
- 8.地形変化と土石移動現象に関する研究(I.研究動向)
- 複数の支川土砂流出により発生した Sediment pulse の波形形成とその流下距離
- 北海道の源頭部流域における扇状地の年輪年代解析に基づく土砂流出パターンの推定
- 九州山地の穿入蛇行河川のV字谷渓岸における森林のモザイク分布
- 九州山地の穿入蛇行河川のV字谷渓岸における森林のモザイク分布
- 九州山地の穿入蛇行河川のV字谷渓岸における森林のモザイク分布
- 火山砕屑物の粗粒成分を考慮した斜面浸食過程の室内実験(会員研究発表論文)