ラットの肝転移モデルに対するヒト型Angiotensin II誘導昇圧化学療法の基礎的検討
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概要
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Angiotensin II(以下,AT II)を用いた昇圧化学療法(induced hypertension chemotherapy,以下IHC)の意義を検討する目的で,ラットの肝被膜下に腹水肝癌AH100Bを移植して,以下の実験を行った.AT IIの投与により,平均動脈血圧は約55%上昇し,水素ガスクリアランス法による組織血流量測定では,腫瘍組織血流量は56.2±16.4ml/min/100gから88.7±35.3ml/min/100gへと有意に増加した(p<0.05).また同時に経静脈的に投与されたAdriamycin(以下,ADM)の腫瘍組織内濃度は,IHC群ではADM単独投与群の約4倍の高値を示した.化学療法施行後9日目の剖検所見では,IHC群(n=6)の1例で腫瘍径の増大が抑制され,また腫瘍重量は,IHC群1.3l7±1.007gであり,無処置群3.027±0.362gに対し,有意に腫瘍増殖の抑制効果が認められた(p<0.05).以上より,昇圧化学療法は,肝転移巣に対しても選択的に高濃度の抗癌剤を集積させ,有効な化学療法となりうる可能性が示唆された.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1996-10-01
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