某医科大学内視鏡洗浄室のグルタルアルデヒド曝露の現状と課題

概要

論文の詳細を見る
【はじめに】グルタルアルデヒド(GA)製剤は、広く内視鏡の洗浄消毒剤に使用されており、某大学病院の内視鏡洗浄室でも、GA製剤であるサイデックス28 3.5%液が使用されている。某大学では平成11年4月に内視鏡洗浄室のGA調査を行った後、内視鏡洗浄機のパッキン交換と内視鏡洗浄室の改修工事が実施された。今回の報告は、内視鏡洗浄室改修後の作業環境測定として平成13年4月にGA調査を実施し、改修工事後もなお内視鏡洗浄室に残るGA臭気の問題点を検討したので報告する。【対象場所】某大学病院の内視鏡洗浄室を調査場所とし、内視鏡洗浄室周辺に11個のA測定点と1個のB測定点を設定し、曜日や時間帯を変えて8回測定した。【測定機器】GAの測定には、グルタラールメーター3(発売元:株式会社アイ・シー・エフ)を使用した。【結果】内視鏡洗浄室(1)〜(7)測定点の幾何平均値(X)と消毒用ポリバケツを置いた部屋の測定値(Y_2)の間には、回帰式Y_2=-0.05+1.75X、r=0.94で、t検定の結果p<0.001で最も強い有意相関が観察された。B測定として、処置具消毒用ポリバケツの蓋を閉めた状態で、ポリバケツ周辺に飛散したGAを測定したところ、最大値で2.64ppmを確認した。【結論と考察】内視鏡洗浄室は平成11年4月の調査後内視鏡洗浄機のパッキン交換や、GA発生源の囲い込み、局所排気装置の設置などの改善がなされた。更に、顔面保護マスクの使用など配慮の結果、現場の職員からの訴えは減少した。しかし、XとY_2の相関が高いことやB測定の結果より、現在もなお内視鏡洗浄室に残るGA臭気の原因は、処置具の消毒用ポリバケツの周りに飛散したGAが気化する時に高濃度となるGAであると考えられた。よって更なる改善には、消毒用ポリバケツ周辺のGA飛散防止やポリバケツの囲い込みが必要と考えられる。
産業医科大学学会の論文
2002-03-01

某医科大学内視鏡洗浄室のグルタルアルデヒド曝露の現状と課題

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク