各地域における改良米の食味について
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概要
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各地域産米の銘柄米のコシヒカリ,ササニシキ,日本晴を交配して育成されたつがるおとめ,ハナエチゼン,ヒノヒカリ,ヒゴノハナについて,これらの交配種に銘柄米の性質がどの程度反映され,親を越えられる食味に改良されたかどうかについて調べた。1.改良米のみかけのアミロース含量は,コシヒカリの流れをくむつがるおとめとハナエチゼンに比べ,日本晴の流れをくむヒノヒカリとヒゴノハナの方が高いことがわかった。2.沸騰時では,米粒の重量増加は日本晴の流れをくむヒゴノハナが少なく,他の改良米には差がなかった。また,糊化度の低い日本晴の流れをくむヒゴノハナが低かった。3.炊飯による米飯の重量増加と水分含量は,改良種4品種間に大きな差はなかった。しかし,糊化度はコシヒカリの流れをくむつがるおとめとハナエチゼンが日本晴の流れをくむヒノヒカリやヒゴノハナノの糊化度よりやや高い傾向を示した。4.米飯の硬さは,コシヒカリの流れをくむ4品種に大きな差はなかった。粘りはコシヒカリの流れをくむつがるおとめ,ハナエチゼン,ヒノヒカリには大きな差はなかった。しかし,日本晴系のヒゴノハナの粘りは弱く,日本晴交配の影響が見られた。また,バランス度はハナエチゼンが最も高く,次いでつがるおとめ,ヒノヒカリ,ヒゴノハナの順であった。5.改良米の食味は,コシヒカリの流れを強くくむハナエチゼンの食味がもっとも評価が高く,次いでコシヒカリとササニシキの流れをくむつがるおとめの評価が高かった。特につがるおとめはササニシキの特徴である粘りの好ましさの影響が認められた。以上の結果から,いずれの改良米も,交配により親となる銘柄米の形質を色濃く反映しているが,この形質を越える交配種は見られなかった。
- 日本調理科学会の論文
- 2000-11-20
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