ニンジングラッセの硬さ,色,味に及ぼす火力の影響

概要

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ニンジンを加熱調理することによっておこる硬さ, 色, 還元糖, 蔗糖, アミノ酸の変化をグラッセの調理を通して調べた。さらにその際, 電熱器300Wと600Wを用いて, 火力による影響についても検討を加え, 次の結果を得た。1. 硬さは, 300W加熱の方が柔らかく, 試料温度13℃に比べ60℃の方が柔らかった。2. 色は, 加熱により, L, a, bとも低下し, 特に明度と赤味の低下が著しかった。また, 600W加熱に比べ300W加熱での赤味の低下が大きかった。試料温度13℃では, 60℃に比べて明度の上昇が認められた。3. 官能検査では, 600W加熱の方が色, つやとも有意に好まれ, 味, 硬さもグラッセとして好ましいという評価であった。4. 還元糖量は, 加熱することにより増加した。600W加熱と比べ, 300W加熱の方が多く, 特に外部の糖量が大であった。蔗糖量も加熱により増加したが, これは添加した砂糖の浸透によると考えられる。長時間加熱である300Wの方が, 内部, 外部とも600W加熱より蔗糖量が多かった。アミノ態窒素量は, 加熱による増加は認められたものの火力間の差はわずかであった。
日本調理科学会の論文
1985-12-20