食品のつやに関する研究 : 第1報 : 焼成卵黄薄膜のつやの測定
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概要
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1)食品加工又は調理において使用されている種々のつや出し剤の例として,卵黄又は卵白に水,みりん,牛乳,サラダオイルを適宜均一に加えたものをガラス板上に膜厚0.15mmに塗布し,200土5℃で焼成した。卵黄とみりん,卵黄と牛乳の組合せによるつや面はそれぞれ固く平滑であり,光沢もすぐれていた。2)200℃,7分間の焼成条件下で,卵黄とみりん,或いは卵黄と牛乳の組合せについて配合割合を変えて検討したところ,みりん或いは牛乳60に対して卵黄40の組合せでは顕微鏡観察によるつや面が均質でなく,視感光沢値も,三次元変角光度計による光沢の測定値も何れも低い値を示した。一方,みりん或いは牛乳50に対して卵黄50の組合せは,それぞれ固く平滑なつや面を形成し,顕微鏡観察によっても均質な鏡面でつやも良好であった。各組合せについて三次元変角光度計を用いてつや面の光沢を測定した結果は,視感光沢値の傾向に近い値を示した。方法としてはθ度対比光沢度,受光器開キ角対比光沢度及び半値幅光沢度を求めた。3)みりん50に対して,卵黄50の組合せについて200℃焼成時の時間的変化を調べたところ,アルコール分,水分などの揮散に伴なう濃縮過程により5分後に油分の析出が起り,光沢は一時的に低下したが,加熱7分後には固く均質で平滑なつや面が形成されて,すぐれた光沢面を得ることが出来た。明度,彩度の測定結果も同様の結果を示した。4)触感の上からも,また表面の構造の上からも,固く平滑で均質な光沢面を得ることが焼成された食品のつや面を良好なものにする必要条件の一つであると考えられた。また以上の実験を通して変角光度計による光沢の測定値は,心理的な視感光沢値の傾向に近い値を示したので,つやの判定にある程度使用出来ると考えられた。終りにあたり,本研究に御援助いただいた財団法人旗影会,御指導いただいた通産省製品科学研究所相川光夫氏,共立女子大学亀高正夫博士,御協力いただいた赤川直亮博士,松沢栄子氏,寺田みつゑ氏に感謝いたします。
- 1979-10-20
著者
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