寄せ菜
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概要
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1.寄せ菜は緑色野菜の搾汁を70℃に5分間加熱し、液面に浮遊するものを採取した。液面に寄せ菜が浮遊しない野菜の場合は搾汁を遠心分離しLPCとして採取した。2.寄せ菜の収量はホウレンソウが最も多く、以下ダイコン葉、カブ葉、パセリ、カラシナ、セロリー、チンゲンツァイ、ブロッコリー、万能ネギの順に減少した。アスパラガス、ミツバ、シソは寄せ菜を形成しないためLPCとして採取した。同様に春菊はpH6以下、ピーマンはpH5以下でLPCを形成した。キャベツはpHを変えてもLPCを形成しなかった。3.クロロフィル量の多い寄せ菜はダイコン葉とパセリであり、LPCはシソであった。4.野菜搾汁(原液)の粘度は寄せ菜の収量に関係しなかった。5.ダイコン葉からの寄せ菜は、5μm以下の粒が凝集し絡み合って液面に浮遊し形成される。寄せ菜をプロテアーゼ、並びにリパーゼの存在下に処理しても寄せ菜粒の大きさには影響しなかった。6.ダイコン葉からの寄せ菜タンパク質のSH基をNエチルマレイミドで封鎖したところ、寄せ菜の収量が減少した。また搾汁にエチレンジアミン四酢酸を添加した場合も、形成される寄せ菜の収量が顕著に減少し、次に鉄イオンを添加したところ寄せ菜粒の大きさと収量が増加した。銅イオンの添加は寄せ菜の収量を増加させたが、粒の大きさには影響しなかった。7.寄せ菜の形成には緑色野菜のSH基が関与し、また鉄イオンの介在が寄せ菜の形成に特に必要であることが考えられた。8.即ち鉄イオンは緑葉タンパク質のSH基間にキレート結合を形成させ、寄せ菜の凝集、浮上を促進することが示唆された。そこで、過剰の鉄イオンの介在下にホウレンソウ寄せ菜を調製したところ、寄せ菜の収量が顕著に増加した。9.日本料理における寄せ菜の記録を調べ、LPCと形成条件を比較した。寄せ菜はLPCの一形態であるが、独特の採取方法による日本古来の食品材料であることを確認した。
- 1994-05-20
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