調理における加熱に関する研究 : 第1報 : 温度上昇方式とバレイショの糊化
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概要
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バレイショの糊化度を目安として常温から沸騰,沸騰継続10分,20分,40分につき沸騰以前の初期の温度上昇の推移の相違による加熱効果について実験を行なった結果次のことが明らかとなった。(1)A方式(等速の温度上昇)はもっとも効率が悪い。(2)B方式は沸騰までに於ける初期の急激なる加熱が絶対的な効果を表わすものであること。(3)沸騰までの後半に急激なる加熱を行なうC方式は,沸騰の継続によってその効果が現われること。(4)沸騰までの半ばで一時温度上昇を止めるD,E,F方式については中間の休み以後に於ける温度の急激なる上昇が最も効果があり,それに次いで中間の休み以前の温度の上昇も,やや効果があることがわかったが,いずれにせよBやC方式程の効果を示すまでには至らなかった。この実験では沸騰までの加熱の段階において,生バレイショ中に含まれる酵素類については配慮しなかったが検討を要することと思う。なお沸騰または沸騰継続後,試料の糊化度を測定する段階においてはバレイショが室温になるのをまたず,脱水の操作に移ったからこの温度下降時間における酵素の活性化については条件は同じものと考える。一般の調理における加熱においては,この温度下降時間における酵素作用は配慮しなければならないと思う。バレイショの固体差については試料を採集する際に何個かのバレイショから切片を集めるようにしたし,実験者が変った場合もA,B,C3方式の60分加熱に熟練せしめ,上記の結果の10%以内の誤差で実験できるようになったものを選んだ。
- 1977-09-20
著者
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