地震長期確率評価情報に対する小田原市民の反応
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Since Great Hansin-Awaji Earthquake short term prediction is perceived to be difficult at almost area in Japan. Instead of it long term probabilisic forecast is expected to be realized, and central government issued trial estimate of long term probabilisitic forecast of several large earthquakes as a first step. This long term forecast is expressed by a probability of occurring an earthquake within 30 years. According to the report issued by Headquaters for Earthquake Research Promotion in Prime Minister's Office in May, 1998 the probability of Earthquake at Kannawa-Kouzu-Matsuda Fault in Odawara city was 3.5%. In this paper the result of survey on responses of residents in Odawara city to this probabilistic long term forecast are shown. It is revealed that residents responded very wisely to the forecast. They don't neglect the long term forecast with very small probability of occurrence and they are willing to make it a good chance to promote earthquake preparedness.この30年間にわたる地震予知研究は、当初の期待に反して、場所、規模、時間を特定した短期的地震予知の困難さを明らかにLた。一方、1995年に発生した阪神・淡路大震災は、.普段、頻繁には地震が起きない地域でも大きな地震が発生し、大被害をもたらすことを改めて明らかにし、地域社会が予め地震に対する準備をしておくことの重要性を再確認させた。しかし、「地域社会が予め準備をするためには、何らかの手がかりが必要である。そこで、阪神・淡路大震災後、政府の地震調査委員会は、その手がかりとして、確率表現を用いた長期的予知(地震発生の長期確率評価)情報を提供する提案を行い、その試算結果1)を公表した。研究者の中には、活断層調査結果の社会還元としては、これが精一杯の情報ではないかと考える人もいる。このような地震の長期確率評価情報は、①国や都道府県・市町村の防災対策の一般的支援(優先順位づけ、対策を具体的に考える手がかり)、②防災まちづくり(進行スケジュール等)への活用、③建物や土木構造物の耐震基準への反映(地域による上乗せ基準の設定)、④保険の掛け金算定基準、⑤立地コントロール(原発、危険物施設、一般住宅、その他の施設の立地規制)等に活用されることが期待される。しかし、現実に長期確率評価情報を利用するとなると、多くの困難があることも事実である。たとえば、地震という破壊現象には、大きな時間的ばらつきがあることから一定期間内の発生確率はかなり低くなり、その結果、切迫感がなくなり、むしろ安心情報と理解され、防災対策促進にはかえって逆風になるのではないかとか、この評価の信頼性が乏しく、しかも発生可能性がある、すべての地震を網羅した情報ではないために、コストが大きな対策の根拠としては不充分ではないかといった問題点も指摘されている。この長期確率評価情報の有効性は、地域社会が、この情報をどう受け止め、地震防災対策の促進にどの程度結びつけられるかにかかっているのである。そこで、本調査研究では、長期確率評価情報の試算例のひとつとされた神縄・国府津一松田断層を抱える小田原市民を対象に、この長期確率評価情報をどのように受けとめているかを実証的に明らかにする。なお、この調査研究は、文教大学情報学部共同研究費及び同教育研究特別予算の配分を受けて実施されたものである。
著者
関連論文
- 45. 実践的防災計画の策定のための地震被害想定の在り方 : シナリオ型地震被害想定の提案
- 84. トルコ・コジャエリ地震における都市災害の特徴と課題(トルコ地震・台湾地震)
- 地震長期確率評価情報に対する小田原市民の反応
- 長期確率評価情報が防災意識に及ぼす効果
- 43.実践的防災計画の策定のための地震被害想定の在り方 その2 : シナリオ型地震被害想定の作成例
- 15. 阪神・淡路大震災と身体障害者 : 聴覚障害者を中心として
- 16. 応急対策意志決定支援のための応急対策需要量と供給可能量の予測方法(その2)(被害予測と緊急対応 その1)
- 移動電話の普及とその社会的意味
- インターネットが企業を変える
- 20. 応急対策意志決定支援のための応急対策需要量と供給可能量の予測方法(III. 被害予測と緊急対応 その2,第IIIセッション,第8回(平成10年度)地域安全学会研究発表会)
- 40. 実践的な応急対策実施のための訓練のあり方(VI. 被害予測と緊急対応 その2,第VIセッション,第7回(平成9年度)地域安全学会研究発表会)
- ソフトウェア産業の変貌 : この5年間の変化
- 阪神・淡路大震災におけるボランティアの活動と今後の課題
- ソフトウェア産業の地方展開と東京集中の拮抗メカニズム
- 7.テレビ電話・テレコンファレンスへの期待 : 利用者の立場から(テレビ電話・テレコンファレンス)
- P2-2 映像通信サービスの展望 : ニーズの所在
- テレビケームとこどもの遊び
- 日本におけるビデオテックス及びパソコン通信サービスの現状と課題
- 災害警報に対する住民の反応と警報伝達システムの問題点 : 平塚市における警戒宣言誤放送騒ぎの実証的分析
- 学生は大学キャンパスにどのようなイメージを抱いているか
- メディア論からみた情報通信基盤(一九九五年度秋季研究発表会 ワークショップ報告)