均等色差空間の開発 : CIELABクロマスケールの修正
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概要
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CIE表色系の産業応用として色差表示が広く利用されている.2つの色の色差を表示する方法として,CIEはCIELAB(L^*a^*b^*)及びCIELUV(L^*u^*v^*)の2つの均等色空間及び色差式を勧告している.これらの式は1980年にJIS(日本工業規格)に採用され,国内に広く普及している.しかし,一方では色差式によって予測される色差値と目視で感じられる色差との間にずれが生じる場合があることが指摘をされており,とり扱う色材によっては上記の国際勧告とは異なった色差式が利用されている.異なった色差式の間の単位の大きさには互換性がないことから,市場の混乱をおこす一因となっている.このため,目視との相関が高い統一的な色差式の開発が望まれている.そこで,CIEは1978年に色差研究のためのガイドラインを設定し,各研究者が組織的に研究を行い,長期的により良い色差式の開発を目指すことを提案している.その後,CIEではCIELAB色差式を修正したCIE94及びCIEDE2000を提案し,より目視との相関の高い色差式の開発を進めている.筆者は,陶磁器タイル製造工業で多く利用されている低彩度領域の色に関する色差観測データを用いた色差式の性能比較を実施し,CIE94及びCIEDE2000の色差属性が異なった場合の問題点及びマンセル表色系の色票群ができるだけ均等に分布するように開発された均等色空間の可能性について報告した.池田らは,反対色応答を考慮したCube-Root空間を基礎として線形変換によって,マンセル表色系の明度V=6及び彩度C=8の色相環が円形に表示される均等色知覚空間を提案している.この色空聞での色差も定義されているが,産業的に広く普及しているCIELAB色差式との互換性についての報告はなく,産業応用に結びついているとは言えない.産業応用の面からは,CIE94やCIEDE2000のようにCIELABの簡単な修正によって,目視との相関性を改善した色差式のほうが受け入れやすいと考えられる.筆者は,この点から,均等色知覚空間として認知されているマンセル表色系とマンセル表色系を記述するように開発されたアダムス-ニッカーソンの色差式を基礎とするCIELABの関係を色差の観点から検討し,均等色差空間といえるような色空間を開発することを考えている.図1に明度V=5のマンセル表色系の基準値をプロットしたグリッド図を示す.図1からマンセル表色系の彩度スケールが知覚的に等間隔であると仮定すると,CIELABのクロマスケールには明らかな歪みがあることが判る.そこで,均等色差空間を開発するにあたり,最初に,色差の観点からクロマスケールの検討を行った結果について報告する.本報で提案したクロマスケールは,マンセル表色系の彩度スケールと良好な対応関係にあることを示している.
- 2003-11-01
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