関節疾患における免疫組織化学とin situ hybridization

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近年、免疫組織化学やin situ hybridizationにおいては感度をあげるために様々な工夫がなされ、簡便なキットや合成オリゴヌクレオチドプローブを用いた方法によって容易に検索を行うことが可能になった。その一方で、硬組織においては標本作成の際に脱灰操作が必要であるために、通常の軟組織に比較して長時間を要し、十分な検討が困難なこともあった。脱灰法には様々な方法があるが、脱灰時間の短縮と染色性(抗原やmRNA)の保持が問題になる。特殊染色を行う場合には脱灰による染色性への影響が特に現れやすいため、脱灰時間をできるだけ短くすることが必要である。一般的に染色性の保持のためには、EDTAによる低温脱灰を行うが、脱灰終了まで長時間を要する場合が多い。我々は、マイクロウェーブ照射装置を用いてEDTAによる低温脱灰を行ったが、脱灰期間の短縮と染色性の保持が十分であった。また、免疫組織化学では抗原の賦活化のためにしばしばオートクレーブ処理を行うが、通常の121℃で10分間加熱の方法では骨組織がスライドガラスからはがれてしまうことが多く、組織の傷みが強いが、筆者らはオートクレーブの温度や時間を変えて検討した。その結果、105℃で30分間加熱のものでは、十分な染色性が得られ骨はほとんどはがれることはなかった。さらに、in situ hybridizationについてはMicroProbeStaining system(Fischer Scientific社)を用い、30分-2時間という短時間のhybridizationでmRNAの検出が可能であった。慢性関節リウマチ(RA)患者の病変でもっとも注目される部分はパンヌスとよばれる肉芽組織であるが、この部分は肉芽組織が直接、骨破壊部に接している部分であり、骨を侵食する細胞についての検討が重要である。これらの細胞からは各種サイトカイン、蛋白分解酵素などが産生されるが、上記のような固定、脱灰を行った検体では免疫組織化学やin situ hybridizationが可能であった。

関節疾患における免疫組織化学とin situ hybridization

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