慢性関節リウマチ血清、関節液中のMatrix metalloproteinase-13の動態
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概要
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[目的]慢性関節リウマチ(以下RA)は全身の関節破壊を伴う疾患であり、その関節破壊についてはmatrix metalloproteinase(以下MMP)の役割が注目されている。RAにおける関節破壊では活性型MMPが中心的な役割を果たしていると考えられるが、既存の方法ではin vivoの状態でのMMPの活性を測定することは困難であった。今回我々は、RA患者血清、関節液中のMMP-13の蛋白濃度、活性型MMP-13を測定し、さらにMMP-1、MMP-9についてRAと変形性関節症(以下OA)との比較を行い、次に酵素間での蛋白濃度、酵素活性、活性化率の比較をおこなった。[対象]RA患者64例から採取した血清、関節液、手術時に採取した滑膜、骨、対照としてOA患者18例から採取した血清、関節液、健常人から採取した血清を用いた。[方法]まず、血清、関節液中のMMP-1、9、13の蛋白濃度をELISA法により、次に血清、関節液中の活性型MMP-1、9、13を、ヒトMMP活性測定システムを用いて測定した。さらに、RA骨破壊部、滑膜におけるMMP-13の免疫組織化学染色、in situ hybridizationを行った。[結果]血清中、および関節液中のMMP-1、9、13の蛋白濃度、活性はRAではOAに比べ有意に高かった。また、RAにおいて酵素間での比較を行うと、血清および関節液中の蛋白濃度、活性はいずれもMMP-9が高値であり、MMP-13は最も低値であった。しかし、活性化率(蛋白濃度に対する活性化能)について検討したところMMP-13はMMP-1、MMP-9と比較して有意に高値であった。さらにMMP-13についての免疫組織化学染色、in situ hybridizationの結果、滑膜組織の表層細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞様細胞、単球系細胞で陽性であり、パンヌスによる骨破壊部ではOsteoblast様細胞、軟骨細胞で陽性であった。[結論]MMP-13はRAの炎症、関節破壊において重要な役割を担っている酵素と考えられた。
- 日本結合組織学会の論文
著者
-
澤井 高志
岩手医科大学医学部病理学講座先進機能病理学分野
-
嶋村 正
岩手医科大学整形外科学教室
-
宇月 美和
岩手医科大学病理学第一講座
-
澤井 高志
岩手医科大学医学部病理学第一講座
-
吉田 昌明
岩手医科大学医学部,整形外科学講座
-
伊藤 崇
岩手医科大学病理学第一講座
-
吉田 昌明
岩手医科大学医学部 整形外科学講座
-
嶋村 正
岩手医科大学 医学部 生化学講座
-
澤井 高志
岩手医科大学病理学第1
-
澤井 高志
岩手医科大学医学部第一病理学講座
-
澤井 高志
岩手医科大学
-
伊藤 崇
岩手医科大学病理学第一
-
宇月 美和
岩手医科大学医学部病理学講座先進機能病理学分野
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