イネミズゾウムシ越冬後成虫の飛翔筋の発達と飛翔活動における温度依存性
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概要
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1)温度別に越冬後成虫を飼育し, 飛翔筋(epipleural muscle)の発達程度を調査したところ, 飛翔筋の発育零点は13.8℃であった。2)越冬場所の落葉下で採集した成虫を25℃, 16L-8Dで飼育開始時から絶食させた場合は, 飛翔筋はほとんど発達しなかった。食草を摂食した個体の発達した飛翔筋もその後絶食させると, 絶食開始12日後ないし18日後には衰退し, 細くなっていた。3)成虫の摂食開始に関与する日長反応を25℃, 16L-8Dおよび12L-12Dで調査した。9月6日に越冬場所で採集した個体は長日条件では飼育開始4日後に50%以上の個体が摂食したが, 短日条件では摂食開始前期間が遅延した。12月16日以降に採集した個体では, 長日および短日条件での摂食開始前期間はほぼ1日以内となり, 摂食開始前期間に関与する日長反応は消失していた。4)25℃, 16L-8Dで飛翔開始個体数を調査した結果, 飛翔開始個体は飼育開始6日後ないし8日後から観察され, 50%の個体が飛翔を開始したのは9日後から12日後であった。また, 累積飛翔開始個体率と有効積算温度との関係式を求めた。5)越冬後成虫の温度別の飛翔活動性を比較したところ, 25℃および27.5℃で最も飛翔個体率が高く, 次いで30℃, 22.5℃の順に飛翔個体率が高かった。20℃では飛翔個体率はきわめて低く, 18.5℃では飛翔個体はなかった。6)4月から6月にかけて雑木林内のササ上で越冬後成虫数を調査したところ, ササ上の個体数が減少する時期は, 室内飛翔試験で求める関係式による飛翔開始個体の増加する時期の推定結果とよく一致していた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1985-02-25
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