シロイチモジマダラメイガの光周反応
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概要
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シロイチモジマダラメイガの光周反応を明らかにするために,埼玉県鴻巣市で採集した個体群について,ダイズを主材とした人工飼料およびダイズ莢を飼料として飼育し,以下の知見を得た。1) 卵期から光周処理をした場合,20°Cにおける臨界日長は約13.75時間であり,8L-16Dから13L-11Dの間ではほとんどの個体が休眠し,6L-18D以下の日長ではしだいに休眠率が低下した。25°Cにおける臨界日長は約13.5時間であった。12L-12Dおよび13L-11Dでは休眠率が高く,これより短日側では休眠率がしだいに低下した。30°Cでは12L-12Dあるいは13L-11Dでも休眠率は低かった。2) 本種は,卵期にも光周感受性を有し,25°Cで卵期だけ長日処理(16L-8D)した場合,ほとんどの個体が非休眠となった。卵期の後半(眼点期以降)に最も強い光周感受性がみられた。20°Cにおいて卵期だけを長日処理(16L-8D)し,幼虫期を11.5L-12.5Dから13L-11Dの間で飼育した場合に100%の休眠率を示した。しかし,幼虫期を14L-10D以上および11L-13D以下の光周期で飼育した場合に休眠率は低下した。3) 幼虫の各齢期のはじめに連続3日長日処理(16L-8D,25°C)を行い,その他は短日条件で飼育した場合,1齢から4齢までにはかなり強い光周感受性がみられたが,老熟幼虫では低下した。4) 野外条件では,8月下旬頃に産下された世代から休眠個体が現われた。この時期の野外の日長(30分の薄明薄暮を加えた)は,14時間弱から13.5時間弱であり,室内実験により得た本種の臨界日長とほぼ一致していた。5) 野外条件下においた越冬幼虫は,11月に12L-12D, 25°C条件に移しても発育抑制を強く受け休眠状態にあったが,1月および2月に移した個体では休眠覚醒率が高く,3月には休眠はほぼ完全に覚醒していた。
- 1986-05-25
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