ノシメコクガの休眠に関する研究 : III.休眠性の弱い個体を休眠に入れる条件としての高温
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概要
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一般に,ノシメコクガは約20°Cで飼育すると終令幼虫で休眠にはいり羽化はおくれる。一方羽化の早いものを選んで飼育を続けると,休眠せずによう化羽化してくる休眠性の弱いストックをうることができる。このストックに及ぼす高温の影響を調べた。発育初期(卵∼1・2令幼虫)をある期間(少なくとも2日以上)30°Cで飼育してから20°Cに戻すと休眠する。あまり長く30°Cで飼育すると4∼5令(終令)またはそれ以上に発育して休眠しなくなる。卵から成虫になるまで,またはそのうちの後半のみを30°Cで経過させ,その羽化虫をすぐ20°Cに移して産卵させるとふ化幼虫は休眠にはいらず成虫となる。また次の世代でも休眠にはいらない。すなわち当世代の発育初期の高温は休眠を起こさせるが,前世代以前の時代の高温はほとんど効果がないように思われる。しかし幾世代も高温で経過させた場合の結果はまだ明らかでない。発育初期に30°Cに触れさせて休眠にはいらせたものをそのまま放置して羽化させ,その次世代を20°Cで経過させたが休眠個体は生じなかった。すなわち休眠したこと自体が次世代に影響することはほとんどないらしい。このストックは以上のような休眠上の性質を持っているが,このようなストックの生成がどのような機構で起こるかはまだ明らかでない。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1959-12-30
著者
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