ノシメコクガPlodia interpunctella HUBNERの生態学的生活史の研究 : I.休眠生起についての3ストックの比較
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概要
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ノシメコクガPlodia interpunctella HUBNERを30℃で累代飼育しているうちに, 幼虫の生息密度に対する感受性が著しく弱くなり, 密度依存的な休眠率が3年間に23.7%から0.6%になった(いずれも30gのぬかに400個の卵を投入し30℃で飼育)。しかし20℃で飼うと休眠した(OS)。一方20℃で比較的早く羽化する成虫を繰り返し飼育した結果, 20℃の恒温では休眠しない新しいストックが手にはいった。このストックもやはり密度に対する感受性が弱く, OSと同じ実験方法で0.4%しか休眠にはいらなかった(NS)。NSと同じ方法で反対の方向に選択飼育して, 20℃で累代飼育しても休眠するストックを手に入れた。このストックは密度に対する感受性が強く, OS, NSと同じ実験方法で52.4%の密度依存的休眠率を示した(DS)。どのストックも30℃の温度と低い幼虫密度の条件下で飼うと休眠にはいらない。一方発育の初期を30℃で飼って後期を20℃に移すと, NSを含めて全部のストックが休眠する。OSは温度反応ではDSと似ているが, 密度反応では大きく異なっている。またOSは密度反応ではNSと似ているが, 温度反応では大差がある。ここで得られた結果で重要と思われるのは, 休眠の特性についての種内変異が, 密度依存的でない温度の働きに対する反応にみられるばかりでなく, 密度の働きに対する反応にもはっきり認められ, しかもそれが温度反応の変化とはある程度独立的に生じていることである。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1960-09-30
著者
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