カイガラムシに着生するネクトリア属菌の分類学的考察
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概要
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各種のカイガラムシの体表に橙紅色のスポロドキアを形成する菌について,従来分類学的に混乱があり,わが国でもしょうこう病菌,赤虫生菌,桃色虫生菌,赤死病菌,およびFusarium nivale (Aspidioti)の5種が記録されている。そしてこれら菌種の類別の根拠はスポロドキアの色彩,形状と,大型分生胞子の大きさ,形状とにあった。著者は21種類のカイガラムシからこの種の菌を31株集め,虫体上に形成されたスポロドキアの色彩,形状,さらに分離した培養基中での大型分生胞子の大きさ,形状などについて調査した。その結果,F. nivaleと同定された1菌株を除いては,前述の諸点から供試菌株を分類することは不合理であることが判明した。また従来の報告をあわせて検討した結果,前記和名のつけられた4菌種は1種に統一するのが適当であるとの結論を得た。さらに著者は2菌株について虫体上に形成された子のう殼を観察し,この菌がNectria属に入ることを確認した。以上の結果から,これらの菌をNectria episphaeriaに統一することを適当と認め,和名にはしょうこう菌が適切であると考察した。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1974-09-25
著者
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