植物体におけるO, O-dimethyl S-isopropyl-2-sulfinylethyl phosphorothiolateおよびその同族体の残留性
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概要
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滲透性殺虫剤O, O-dimethyl S-isopropyl-2-sulfinylethyl phosphorothiolateおよびその同族体の植物体における残留性を^<32>P-標識殺虫剤を使用して調べた。本殺虫剤をミカンおよび水稲に施用すると, 噴霧, バンディング, 浸根処理などの処理方法の如何にかかわらず, 植物体に吸収され体内を移行する。^<32>P-標識殺虫剤を施用した植物体内の放射性物質のクロロホルム-水間の分配係数から, その分解程度を調べると, ミカンでは噴霧もバンディングも同じような分解経過を示した。また果実内における分布は果汁より果皮に濃縮される傾向を示した。リンゴにバンディング処理した場合, 殺虫剤および分解産物の先端葉への集積はミカンの場合に類似するが, 分解速度はミカンに比較して遅かった。殺虫剤を大根およびビートに噴霧した場合, その行動は両植物間で異なり, 根への移行はビートより大根において少ない。また根における分解程度は両植物とも葉におけるよりも大であった。殺虫剤溶液に水稲根を浸漬すると, 急速に吸収され葉鞘を通って葉身に集積した。移植後の水稲苗のポットの水に殺虫剤懸濁液を加えると, 殺虫剤は葉鞘から吸収され葉身へ移行するが根への移行は極めて少ない。植物体内における殺虫剤の活性物質の代謝様式はシストックスのチオール異性体の場合と同じように殺虫剤のmercaptosulfur部分がsulfide→sulfoxide→sulfoneの変化をたどる。水溶性分解産物として無機燐酸およびdimethyl phosphoric acidが検出されたが, 両化合物の生成割合は, 供試植物間で相違が認められた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1963-06-15
著者
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