ニカメイチュウの幼虫休眠におけるホルモン支配 : III.休眠期および後休眠期における脳の神経分泌細胞およびアラタ体の分泌細胞に関する組織学的研究
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概要
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ニカメイチュウ脳の神経分泌細胞は中央, 側方および後方の3群からなり, 中央群は更に染色性の異なるA, B2種の細胞からなる。アラタ体は数個の巨大な分泌細胞と輸郭の不めいりょうな小細胞からなり, いんこう(咽喉)側神経球と密着して一体をなし, その境界は判然としない。休眠の覚せい(醒)に伴い, 脳の神経分泌細胞ではB細胞だけが顕著な変化を示した。すなわち, 休眠中のB細胞では細胞質が一様に充実しているが, 休眠覚せいとともに次第に空胞がみられるようになり, よう(蛹)化ま近かのものでは巨大な空胞がみられるに至った。この空胞のみられる状態は分泌物を放出している活動的な時期と考えられる。また, アラタ体の分泌細胞ではB細胞とは逆に, 休眠中に巨大な空胞がみられたが, 休眠覚せいとともに空胞は消滅し, よう化前には巨大な空胞は全くみられなくなった。アラタ体いんこう側神経球の複合体は休眠中は大きいが, 休眠の覚せいにつれて小さくなり, よう化前約18日で最少となり, その後再び大きくなることがわかった。以上の結果から, アラタ体は休眠期中高い活性を維持しているが, 休眠の覚せいに伴って次第に不活性になることが推察される。また, 脳のB細胞の活性がアラタ体の活性と密接に関係していることは注目すべきことである。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1960-06-30
著者
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