家蚕の角皮に関する研究 : X.剥離角皮膜の水分透過性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1) 家蚕幼虫から剥離した角皮膜における水分透過の割合は角皮の部位によって異なり,体節間膜部の透過性は硬皮部のそれよりも比較的高い。2) 角皮膜を通しての発散割合は5令の発育時期によって異なり,4眠脱皮後120時間頃(盛食期)までは経過の進むにつれて漸次減少しているが,その後では漸次増加している。3) 家蚕幼虫の角皮膜は他の昆虫角皮膜と同様に水分の不均斉透過性現象を示す。4) 表角皮蝋をエーテルやアルミナ粉で除去した角皮膜では水分透過の割合が著しく高い。5) 不均斉透過性現象は角皮膜を冷エーテルに浸漬するかあるいはアルミナ粉でわずか転擦した場合には認められるが,温エーテルに浸漬するかあるいはアルミナ粉で強く転擦した場合には認められないようになる。6) 角皮膜の水分透過性は環境温度57∼58°Cで急激に増加し,いわゆる臨界温度を示す。7) 角皮膜の水分透過性と環境湿度との関係は複雑であり,両者の間には直線的な関係が認められない。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1958-06-01
著者
関連論文
- イネ黄萎病ウイルス保毒ツマグロヨコバイの脂肪細胞における小球形成とその意義
- イネ黄萎病ウイルス保毒ツマグロヨコバイの識別法について
- イネ黄萎病ウイルス保毒ツマグロヨコバイの脂肪組織
- 家蚕の角皮に関する研究 : XII.幼虫角皮における孔管と表角皮の観察
- 家蚕幼虫における体重と体水分率との相互関係
- 数種の昆虫における生息環境条件と皮膚面からの体水分発散
- 家蚕卵殼の構造と透過性
- 数種鱗翅目幼虫の角皮II
- 家蚕における角皮物量および絹糸物量の相互関係とその意義
- 家蚕の角皮に関する研究 : X.剥離角皮膜の水分透過性
- ニカメイチュウの皮膚構造と薬剤の透過性
- 家蚕の角皮に関する研究 : IX.アルカリで処理した幼虫角皮
- 43 イネ黄萎病ばいかいこん虫ツマグロヨコバイの脂肪組織(昭和37年度日本農学会大会分科会)
- 307 イネ黄萎病ウイルス (RYDV) 保毒虫の mycetome に関する組織学的観察(虫媒ウイルス学・昆虫病理学・不妊剤, 昭和41年度日本農学会大会分科会)
- 257 ツマグロヨコバイにおけるイネ黄萎病ウイルス吸毒と抗原形成(昭和40年度日本農学会大会分科会)
- (71) イネ黄萎病ウイルス媒介虫の吸毒と検出 (ウイルス病(昭和40年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- 357 イネ黄萎病ウイルスの分離精製について(昭和39年度日本農学会大会分科会)
- (77) イネ黄萎病ウイルス粒子の分離精製について (ウイルス病(昭和39年度日本植物病理学会大会講演要旨))
- 116 蚕卵における色素や酸の透入(昭和36年度日本農学会大会分科会)