分子生物学部門
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概要
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老人病研究所・分子生物学部門は, 日本医科大学大学院分子生物学科目であるとともに, 丸子アイソトープおよび組換えDNA実験施設を兼ねています。現在18名の研究者(教職員6名, 院生・研究生12名)が日夜, ヒトゲノムプロジェクトの推進を基盤とした様々なヒト疾患の遺伝子レベルでの病因解明と診断法の開発に取り組んでいます。 1)ヒトゲノム解析プロジェクト(文部省ゲノムサイエンス研究, 文部省総合がん総括班研究)ヒトゲノムプロジェクトでは, すでにヒト全染色体地図が作製され, 5年以内にその上に位置する約10万個の遺伝子の存在が明らかになると予想されています。我々は乳癌, 肝癌, 膀胱癌, 甲状腺癌の検体を用いて広範なヒトゲノム領域を対象に各染色体上の欠失・増幅・再構成の有無を調べ, 高頻度な異常を見いだした染色体について高精度ゲノム欠失地図を作製し, 共通して欠失する領域の限局化から, これら癌の発生進展に関わる癌抑制遺伝子の同定を目指しています。特に, 1-cM以内に原因遺伝子の存在位置を限局化したのち, そのゲノム領域をYAC, BAC, PACなどのクローンでカバーした後, ショットガン法によるゲノムシークエンシングを行い全塩基配列を決定し, コンピュータを用いたエキソン予測法により未知の遺伝子をクローニングしています。 2)ヒトcDNAプロジェクト(文部省ゲノムサイエンス研究, 文部省総合がん総括班研究)がんを始めとする各種疾患で染色体位置を限局化したものに対して, それら領域よりESTを多数同定し, cDNA発現プロファイル解析を行うことにより, 疾患関連遺伝子をクローニングしています。 3)ヒトDNA多型解析プロジェクト(厚生省長寿科学研究, ノバルティス老化基金助成, 厚生省特定疾患研究)ヒト遺伝子内の多型は, ヒト疾患に対する遺伝的感受性を規定しており, 特に多因子性疾患の遺伝性要因においては候補遺伝子座におけるその解析は病因解明に向けて重要な位置をしめます。これらの多型解析を用いて骨粗鬆症の遺伝的素因の解明のため, 骨代謝に関わる様々な因子の候補遺伝子について多型性マーカーを単離し, 大規模な老年人口における解析から各遺伝子座の遺伝的多様性と骨代謝に関わる様々の表現型間の関係を検討し, また, 高脂血症や高血圧症の発症における関連遺伝子間の遺伝子相互作用の解析を進めています。 4)乳癌・甲状腺癌の遺伝子診断(文部省がん特定領域研究, 同基盤研究(c), 厚生省がん研究助成金, チバガイギー財団助成, 車両財団研究助成)乳癌および甲状腺癌の遺伝子診断の研究については, 多形性DNAマーカーを用いた解析から癌の悪性度, 転移, 再発, 生命予後に関わる遺伝的変化の特定と臨床応用を目指しています。また, 種々の腫瘍に見られる染色体相互転座を指標に転座点において再構成, 活性化をきたす遺伝子のクローニングも試みており, 最近, 甲状腺癌や子宮筋腫において染色体同士の相互転座に伴い, 再構成をきたした新しい癌遺伝子をクローニングしました。
- 日本医科大学の論文
- 1999-03-25
著者
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