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概要
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研究課題 1)ヒトの気道における各上皮細胞の表現型と分化機序 2)ヒトの肺その他の臓器における微小血管内皮細胞の抗原性発現機序 3)癌における血管内皮細胞の機能的特徴研究の背景, 経緯, 結果とその意義 a)上皮細胞の特徴に関しては, 各気道上皮細胞をその発現サイトケラチン亜型や超微形態学的特異性にもとずいて規定する試みをしてきた。その結果, 気道基底細胞が少なくとも2種類の亜型で構成される事実を把握した。これは基底細胞自身が特定の分化を示す証左であり, この発見は気道上皮細胞の幹細胞を見いだす試みに弾みをつけると思われる。つまり, 基底細胞がむしろClara細胞から誘導される可能性を示す有力な根拠となり, この細胞をbronchioloalveolar carcinomaの発生母細胞とする仮説を示唆することになるかも知れない。現在, この領域の課題としてbronchioloalveolar carcinomaのcancer cellの表現型をまとめつつある。 b)微小血管の内皮細胞は, その表現型がheterogeneousである。われわれは内皮細胞の発現するタンパクとくに血液凝固因子である第八因子関連抗原(Factor VIII)と抗凝固因子であるトロンボモジュリン(TM)の分布を検索してきた。その結果, これらの抗原は, 特に肺の微小血管系において特徴的な分布を示す事実を把握することができた。すなわち, 肺動脈系の肺胞毛細血管はTMによく反応し, Factor VIIIには陰性を示した。気管支動脈由来の間質結合組織系の微小血管は主としてFactor VIII陽性で, 逆にTMに反応する群は例外的であり毛細血管に限られた。肺の気管支動脈並びに肺動脈の二重血管系が微小血管のレベルにおいてその表現型に明らかな違いのある事実は, この領域の研究に興味ある示唆を与えることになる。そしてより面白い結果は, 両者の微小血管の対面する境界領域では, 毛細血管と小静脈の内皮細胞が両者の抗原性を発現するために, あたかもモザイク構造というべきパターンを示すことである。このモザイク構造にはいわゆるbronchopulmonary anastomosisの血管を含むことから, この領域の内皮細胞は, 気管支動脈系すなわち系統的血管系の内皮細胞と, 肺特有の肺動脈系の内皮細胞の機能的な特徴を具備する細胞集団であるといえるかも知れない。この細胞群が肺における様々な傷害に反応することで内皮細胞の増生, 新生血管の発生に深く関与するといえる。肺における血管病変のリモデリング概念を構成する上で興味深い所見であると思われる。この結果よりわれわれは, 肺内の微小血管系を以下の3種類に分類することを提唱している。すなわち 1) A-zone capillary; alveolar zone capillary 2) C-zone microvessel; connective tissue zone microvessel 3) J-zone microvessel; juxtaalveolar zone microvessel including capillaries and venules
- 日本医科大学の論文
- 1999-03-25
著者
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