精神分裂病患者の入院体験から学ぶ看護 : 当事者の語りを通して
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概要
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精神科看護では看護師が患者のニーズを正確に把握することは困難である.そのため精神分裂病患者に入院体験を語ってもらい, 入院中どのようなニーズを持っていたかを分析した.そして当事者の語りからニーズをふまえた看護を考察した結果, 以下のようなことが示唆された.1.看護師は患者が話しやすい雰囲気をつくることが必要である.2看護師は患者に相談役としての役割を提示していくことが必要である.3.良好な看護師一患者関係を成立させていくために, 看護師は患者の訴えを傾聴し受けとめていくことが必要である.4医師一患者関係で看護師に必要なことは, 1)相談内容を把握する, 2)対応できるものなら対応する, 3)患者と医師が話せる場を作る, 4)場合によっては患者と医師の面談において, 看護師は患者に付き添うことで患者が話しやすい環境を作る, ことである.5患者一患者関係で看護師に必要なことは, 1)患者同士が与え合う影響に注意しながら, その関わり合いを見守っていく, 2)患者が患者同士だけでなく, 患者以外の人とも対人関係を築いていけるように関わっていく, ことである.6.患者の自主性を尊重しながらレクリエーションを取り入れることが必要である.7.患者の社会復帰において看護師に必要なことは, 1)患者が地域社会で生活してみようという気持ちを引き出すよう動機づけを行なう, 2)患者が退院後も自立した生活を送られるように, 患者の状態を的確に把握した上でアセスメントし援助していく, 3)看護師が医療チームの調整役を務め患者の回復状態に合わせて援助していく, ことである.
著者
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筒口 由美子
富山医科薬科大学医学部看護学科臨床看護学講座精神看護学教室
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筒口 由美子
富山医科薬科大学看護学科
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筒口 由美子
富山医科薬科大学
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川岸 洋美
富山医科薬科大学医学部看護学科
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市山 加奈恵
富山医科薬科大学医学部看護学科
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中田 伸代
富山医科薬科大学医学部看護学科
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