老年期における食物摂取状況調査について(第1報)(食物学)
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概要
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家庭における老年期の食生活の実態を把握し,栄養改善の一助とするために,福岡市近郊某地区の老人クラブに所属する老年者60名について,国民栄養調査(昭和39年及び40年度)に準じ,食物摂取状況調査及び小売価格調査を行なった。その結果,摂取栄養量については,全般に,各栄養素とも,ほぼ所要量をみたしていたが,ビタミンA及びカルシウムは,かなり低かった。特に,動物性たん自質は44%,動物性食品による脂肪が31%であることは,これを,脂肪の面から考えると,油脂類の利用法には,一考を要し,又,カルシウムについては,乳類の摂取を工夫すべきである。更に,摂取率を,年代別にみると,総体的には,年代が進むと共に減少する傾向であった。一方,食形態上,主食については,米食が圧倒的に多く,副食についても,いわゆる食塩,しょう油などを主調味料とする和風調理法が目立っていた。個別訪問の際は,老人の摂取状況を左右する一因として,家族構成による影響があると思われたが,F検定の結果は,対象例数が少ないためか,有意差は認められなかった。しかし,一見,健康と思われる老人でも大半は,歯牙の欠損,あるいは消化器機能の低下を伴うので,老人自身はもちろん,家族は少なくとも,1食のうち一品は,老人のための献立を心がけて欲しいものである。今後,更に,調査地区をかえ,調査を重ねる予定である。この要旨は,第13回日本栄養改善学会で発表した。
- 1966-11-10
著者
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