大学博物館・"産業考古学館"(仮称)の設立
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概要
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日本の産業考古学が欧米と異なってみえる理由の一つは、城塞や橋などは例外として、さらに19世紀中葉からは石と鉄が加わるが、基本的な建築素材が木材・竹・紙だったことである。現代日本の産業技術は「技術複合」、言いかえれば日本の技芸とヨーロッパのそれとのアマルガム(合金)技術である。それゆえ日本では、中世の文化財概念と現代の産業遺産概念とは別のものとして考えられているのである。1990年(代)から文化庁は全国の(近代の)産業遺産・遺跡(毎年2〜4都道府県が約3年計画で)の悉皆調査を開始した。1992年にはユネスコ世界遺産条約が批准され、国内世論・各自治体も産業遺産の保存に積極的になってきている。文部省学術審議会報告「ユニバーシティ・ミュージアムの設置について」1996年1月を受けて、5月に「東京大学総合研究博物館」、97年「京都大学総合博物館」、98年「東北大学総合学術博物館」、99年「北海道大学総合博物館」、そして九州大学が続く。こうした中で静岡文化芸術大学(浜松市)は、産業考古学・産業遺産を中心テーマとする大学博物館を構想している。このような大学博物館は日本初であり、近い将来、おそくとも2010年までに開館することを予定している。[日本の大学博物館の現状と静岡文化芸術大学「産業考古学館」の位置づけを報告する。]
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