宮崎県の非上場企業メインバンク関係1980-2000年
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概要
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本稿の目的は、金融機関と非上場企業の関係について実証分析を試みることにより、従来、注目されることの少なかった非上場企業のメインバンク・システムについて、その機能を解明し地域の金融構造を明らかにする一助とすることにある。地域のメインバンク・システムを分析するにあたり、本稿では宮崎県の非上場企業をサンプルとするケース・スタデイを行う。Kano and Tsutsui [2000]における全国信用金庫のデータを用いた分析によれば、宮崎の貸出金利は全国で最も高い県であった。このことより、宮崎県のメインバンク関係に特徴的な状況があるとも考えられ、宮崎県下の非上場企業のサンプルを用いて、経済成長の高い1980-1990年(H期と呼ぶ)と成長の低い1990-2000年(L期)に分けて、実証分析分析を行う。宮崎県において、非上場企業のメインバンクは、H期88.3%、L期83.9%の固定率である。特に、地方銀行をメインバンクとする非上場企業のメインバンクの固定率はH期89.7%、L期91.0%と、かなり安定的である。メインバンクを変更する非上場企業の特徴としては、H期では操業年数が短いこと、L期ではreputaionの高い企業であることが重要な要因であることがわかった。地域金融におけるメインバンク・システムは、一般のメインバンク・システムのような株式持ち合いによる経営権の安定、委託されたモニターの機能などは発揮されているとは思われないが、様々な点で金融機関と非上場企業は相互に会費を払って加盟したクラブのごとく共存的な関係を保ってきたと考えられる。
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