岐阜県における中小企業メインバンク関係の実証分析
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概要
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本稿の目的は、地域金融機関と中小企業の関係について、岐阜県の中小企業をサンプルとした実証分析を試みることにより、従来、注目されることの少なかった中小企業のメインバンク・システムについて、その機能を解明し、地域の金融構造を明らかにする一助とすることにある。10年間メインバンクを変更しなかった中小企業の割合(固定率)は、平均して87.5%であり、かなり安定的である。中小企業のメインバンクは限定された地域の中でexitよりもvoiceが優先し、中小企業、銀行双方にとって、メインバンクを変更することは負のreputationにつながり継続的、固定的関係が保たれてきたと考えられる。メインバンクを変更する中小企業の特徴を考察するために、変更の有無による二項ロジツト・モデルによる実証分析を行ったが、上場企業の系列中小企業や売上が県下ナンバーワンの中小企業はメインバンクを変更する傾向が見られる。これは中小企業のreputationを高めるためであろう。また操業年数はメインバンク変更と負で有意の関係がある。メインバンクの変更無、上位の業態への変更、同業態への変更、下位の業態へ変更という選択肢を4つ設定した多項ロジツト分析では、資本が増加している中小企業は上位の業態への変更の傾向が見られる。すなわち、中小企業は、その成長とともに、メインバンクを上位の業態に変更していく傾向が伺える。これは大銀行が単独で行っていた安定した資金供給などのメインバンクの役割を地域のシステムとして行っていたと言えよう。
- 摂南大学の論文
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