日本資本主義における戦後体制の形成 : 川崎製鐵,山陽特殊製鋼の高炉計画を中心にしての考察
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概要
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パイオニア的挑戦であった川崎製鉄の高炉は,如何にして成功し,山陽特殊製鋼の高炉は,失敗したのか-。戦後の経済史に区切りをつける,この二つの出来事を中心にして,戦後期の高度成長をみていくのが,この小論の狙いである。中心の問題意識は高度経済成長を,どう理解するかにある。戦後改革こそが高度成長の条件を作ったとみるが,改革それ自身から生まれたものではない。その条件を主体的にどう生かすかが問われた。牽引者となったのは鉄鋼業であったが,状況を切開いたのは川鐵の千葉製鉄所建設であった。川鐵の成功を機に設備投資競争の火ぶたが切られる。それは「鉄が鉄を呼ぶ」日本経済の重工業路線を軌道に乗せ,国際収支の制約も取り払われるとともに消費ブームが起こりうる戦後条件によって,好循環システムができた。この高度成長の過程で戦後の日本資本主義の枠組は確立されてきたのであり,「遅れてきた」山陽特殊製鋼の高炉計画は破綻し,自ら瓦壊する。山特鋼を倒産させた「40年不況」の乗切りの中で,業界再編成が進み独占支配の体制が完了,公債発行で出番も増えた「官」と一体となった"日本株式会社"ができあがる。その原点の形成過程をフォローアップしたものである。
著者
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