CATV事業は,どうあるべきなのか : 郵政省の産業政策を問う
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概要
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郵政省の強い後押しで進められてきた都市型CATV(ケーブルテレビ)事業が足踏みを続けている。バラ色のマルチメディアブームとは裏腹に,今4月,二番目に古い,名古屋市のCATV会社が倒産したことから,先行き不安感もただよっている。問題は何か。近畿地区のCATV会社の事例分析を進めると,要は加入率の低さにつきる。なぜ,家計からそっぽを向かれているのか。いつに費用・効果の問題となる。需要構造を無視して進められた応報である。そこで,郵政省は苦境乗り切りに「放送」から「通信」分野への進出容認など,大幅な政策転換を行った。more channelの魅力がしぼんだため,代わって「フル・サービスネット」の構築である。しかし,CATV会社の「通信」進出は,通信最大手のNTTのINS計画とぶつかる。非対象規制でNTTの頭は押さえられてはいるが,いずれは映像進出の足がかりをつけることになる。このような状況のなかで光ファイバ全国敷設計画が出された。一体,誰がFiver To The Homeの主体となるのか,CATV局・新電電連合なのか,NTTなのか何も決まっていない。このネットワーク産業に大手資本の関心も高いが,銘記すべきことは情報インフラは公共財であるべきだということである。当然,国民経済的観点からの施策が求められてくる。それは市場が決めるものではなく,消費者の視点に立った計画・調整である。日本版レギュラシオンのケースではなかろうか。郵政省の明確な産業政策が求められている。
- 摂南大学の論文
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